詩U
□生贄
1ページ/1ページ
闇に彩られた夢が一枚、また一枚消えて行くわ
何処へ行くのです?
そう問う声に私が考える
私は何処に行きたいの?
いいえ、何処も無いわ
行き場なんて無いの
闇の夢が手を広げて追いかけて来るわ
抱き留められたら最期
ほら、鈴の音が聞こえるわ
私を捕まえる為の不吉な音を響かせて
彼らは追いかけてくるの
聖があるなら悪も存在する
贄にされた羊はけして動くことなく祭壇に横たわるの
されど顔を天に向けて問う
何故?と
天の父が我らに与えし罰
そんな答えなど求めてない
羊は己の身を問うたのでは無いの
この腐った世界を問うたの
黒衣をまとった美女
その瞳に光は無く翳りだけが虚ろに光るわ
喪服の裾を滑らしながら彼女は問う
何故?と
答えなど求めてないわ
全て分かりきったことですもの
生もあれば死も存在するの
贄でしか清められない世界
いっそ消えてしまえばいいのに