短編

□教室シリーズ 家庭科室
1ページ/1ページ





うーっ………




く、苦しい……



現在時刻11時

何度チャレンジしたことか。

そして何度諦めたことか。






朝ごはんを買うことを。





寝坊して全力ダッシュで家を出たのが10:30
寝癖がついてるのは気にしない。

やっと学校についた………














グゥー


下駄箱に行って上履きを取り出してしゃがんだ瞬間に、私のお腹の暴れん坊が叫び声をあげた。
あまりにも大きな音だったので周りに人がいないのを確かめた。


恥ずかしすぎる……!



最悪なことに私は今日お財布を忘れてしまったのです。
定期券は忘れずにもってきたのですが、お財布を忘れてしまったのです




ぐうぅぅぅぅぅ




また、私のお腹が最大級の悲鳴をあげた。
このまま下駄箱から教室までたどり着けるか…………。

なーんて、死にそうな私が感じたのはこの上なく香ばしい食べ物のにおい。



「この香りは………家庭科室か!!」



這いずるように歩きはじめた。




ドンッ




突然何かにぶつかって、今度こそ本気で地面に倒れた。
惨めとかいうな、このやろう。



「なかなか学校に来ないと思ったら、何をしているんですか。貴女と言う方は」




顔を上げると、同じクラスの柳生が片手に何かを持って、エプロンと三角巾をつけたまま私を見ていた。
正確に言うと見下していたって言う方が絶対正しいと思う。


って、エプロンに三角巾?





「なにしてるんですか?もう調理実習終わりましたよ。」



「朝ごはん食べ損ねた………っていうか調理実習だったんだ……」




「ハァ……貴女という人は………。これ丸井君に上げる予定であったケーキですが、いかがですか?」



「ありがとう!柳生!!マジあんた神だよ!!」






目の前に差し出されたケーキを味わう暇もなく食べる。
あ、これかなり美味しい。


食べ終えて、ほっぺたと指についた生クリームを舐めていると柳生がポンポンと私の頭を撫でてきた。


「なにやら、餌付けをしている気分になりますね。」



「さりげなくいつもひどい事いうよね。」



「そうですかね?普通じゃないですか?それに今の貴女には尻尾が見える気がします。」


「柳生にいじめられてへこんでいる尻尾がね。」

「さっきまではブンブンと振っていたのですけどね。気難しいですね」





「っていうか私は人間だっつーの!!!」





家庭科室

(あ!?俺のケーキが食われたって!?)(すみません。どうしても物欲しそうに見ている動物(みたいな人)が居ましたので)(まー、動物にやったんじゃ仕方ねぇよな)(そうですよね。)














[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ