頂き物

□熱いのは君のせい
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親友。戦友。
そして、恋人。

平和な学園生活と、命懸けの戦場。

そのどちらも、彼が居なければ成り立たない。
だから、感謝はしている。

…けれど。



「これだけは、いくらスザクでも譲らない!」

ライが跳び、かなりの高度から叩きつけるようにスマッシュ。

「心苦しいけど、僕も同意見だよ!」

スザクはそれを、バウンド直後にリターン。

「白々しい!」

着地際の不安定な体勢から一転、ライはアクロバティックな動きからボレーを決める。

しかし。

「コントロールが乱れたよ」

凡人には残像さえ見えない高速飛行物体が、ライのすぐ傍を通り抜ける。

『ゲーム、枢木』

肉眼では判定が微妙なので、先程から機械によって試合が仕切られていた。

ちなみに、簡易版のファクトスフィアがボールを捕捉しているのだ。

「これで追い付いたね」
「君が負けても、たいした不利益なんてないのに…!」


ようやく貰った休日に、一面を貸し切ったテニスコートで、スザクとライは対戦していた。

いつの間にか集まったギャラリーは、何かのデモンストレーションだとでも思っているのだろうか。
本当の試合さながらの声援が飛んでくる。

スコアは4‐4。
5ゲーム先取という、多少変則ルールでの勝負。

次のゲームで勝敗が決まるのだ。

「まあまあ。僕はライと純粋に勝負したいだけだから」

その純粋な勝負師魂が、今は憎くて仕方がない。

ライはラケットを握り直すと、新たなボールを宙に放った。


「女装なんて、絶対嫌だ!」
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