頂き物

□熱いのは君のせい
2ページ/5ページ


低い打点から、相手の不意を突く素早いサーブ。

『サービスエース ライ』

スザクの動態視力を持ってしても反応が遅れるスピードで、ボールがコートに叩きつけられる。

「楽しくなってきたよ」
「悪いけど、僕は楽しむ気ないからな」
「うん。必死なライも可愛いから気にしない」

変態極まりない要求をしてきた人物とは思えない、爽やかな笑顔。


『次の休日、ライが負けたら女装してデートね』


この一言で、純粋に楽しむはずだったテニスは、戦いに変わったのだ。


「スザクが負けたら、次の休日はジノと買い物行くからな」

「は?!」

動揺した所を見逃さず、すかさずサーブを打ち込むライ。

『サービスエース ライ』

「…やってくれるね」

スザクの表情が、にわかに黒笑いに変わる。

あと2点でライの勝ちなのだ。
しかし、このまま負けるわけにはいかない。

「他の男の名前を口にしたこと、後悔させてあげる…!」

「う…っ」

気圧されながらも、ライはサーブ体勢に入る。
もう不意打ちは効かないと判断し、高い打点で威力重視だ。

「ライ、サーブの時にお腹がチラッと見えてエロい」

「へ?!」

が、スザクの一言に動揺した。

『フォルト』

ボールはネットに阻まれ、ポトリと落ちる。

「あ…」

「勝負はこれからだよ」


ライは本能的に負けを悟ったという…。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ