□愚者の恋心
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郊外に在る遊園地、夏休みということもあってか混雑していた。



「やっほぉーい!」



順平が奇声を上げて駆け出した。「ちょっと、待ちなさいよ。」そう言って岳羽、山岸が順平の後を追って駆け出す。





「アハハ、まだ彼等も子供だな。それでは私達も行こうか?」



「はい。」




取り残された僕と桐条さんも順平達の後を追う。




暫らく皆でジェットコースター、お化け屋敷などのアトラクションを楽しんだ。




大分日も暮れてきた、順平ははしゃぎ過ぎたのか疲れた様子で「俺、暫らく此処に座ってるわ…」と言ってベンチでぐったりしている



岳羽、山岸も同様に疲れた様子でベンチに座っている



「どうしましょうか?」




そう言って桐条さんを見ると桐条さんは観覧車を眺めていた。




「あれ、乗りたいんですか?」


観覧車を指さして聞いてみた。



「あ、あぁ、の、乗ってみたいな…」



照れて顔を真っ赤にしている桐条さんを見て僕は可愛いな、と思った。




順平達に観覧車に乗ってくると言って僕達は別行動をすることに。




「じゃあ、行きましょう。」


「あぁ、す、すまないな」




桐条さんと二人で並んで歩いていると心臓が、トクン、トクン、っと跳ね上がる感じがして冷静じゃいられなかった。




ぎこちない会話を交わしながら僕達は観覧車の乗り場に着き二人分の乗車券を買い列に並んでいると親子連れが楽しそうな笑い合っている。




桐条さんはそれを見つめながら「羨ましいものだな…」と呟き少し悲しそうな顔をしている。





それはいつもの凛々しく強い桐条さんでは無く、只の淋しさを抱えたか弱い少女の様な表情。





彼女の淋しさを取り払いたいと思った。好きとか嫌いとかではなくそう思った。








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