□愛に鎮魂歌
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タルタロスのエントランスに現れた白くて大きな扉。



その、奥に彼女は居る。





金色の眼をした彼女。




倒されることを望む彼女。



着いた…。





「やぁ、お待たせ。」





声を掛けるとこちらを振り向き丁寧な挨拶をしてきた




「最強なる者が、私だと解っていたのですか?」




「何となくだけど貴女だと思ってました。」




解ってたよ。だってこの依頼を受けた時、貴女が心底嬉しそうな顔をしたから。




「エリザベスさんを倒せばいいの?」


分かり切った事を聞いてみる。


「はい、その通りでございます。」



また、嬉しそうな顔をしてそう言った。




「何か切ないな…。」



僕はそう呟きながら彼女に剣先を向けた。




彼女は強いんだろうな。




そう思わせるオーラが彼女にはある。




「貴女を愛してます。」




剣先を向けたまま愛の告白



彼女は微笑んでそれでいて冷たく、僕を見てる。




「随分な告白ですね。」




その通りだ。告白した相手とこれから闘うのだから。




「愛とは闘う事だって思うんだ。」




言い訳じみた事を言ってみた。



でもそれは本音。




「死を怖れずに、ですか?」


エリザベス、違うよ。




「生きることを恐れずに、だよ。」




彼女と生きてみたいから闘うんだ。





貴女に相応しい男だと証明する為に。


彼女は少し驚いたような顔をしてからいつものクールな顔に戻って。




「私も貴男をお慕い申しております。」




「嬉しいよ。」




さぁ、エリザベス。闘おう。





愛を確かめ合うために。





end

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