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□愚者の恋心
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恋愛なんて興味無いと思ってた。
あの人、に逢うまでは…
8月のある暑い日曜、僕はクーラーの効いたファーストフード店で友近と談笑していた。
「あーぁ、恋愛してぇ。」
女教師にフラれて日の浅い友近が言葉を漏らした。
「フラれたばっかりだろ?」
「うるないな!それは関係ないだろ。なぁそれより、ナンパしようぜ?」
「パス。」
ナンパだなんて面倒臭い。そんなの節操のない馬鹿がやることだ。
「僕はナンパしなくても女の子から寄ってくるから必要ない。」
冗談を言うと友近が「自分で言うな!」と見事な突っ込みを入れてくれた。
「モテモテのお前は、どうなんだよ?好きな人とかいないのかよ?」
下らない質問。
でも、何だろう。何か引っ掛かる感じがする。
「ノーコメントだ。」
冗談を言って話を無理矢理終わらせた。
友近はちょっと拗ねてから「まぁ、好きな人が出来たら教えろよな?援護してやるからさ。」と青臭いことを言っていた。
友近と別れ、寮へ戻る途中考えていた。
彼女の事を。
第一印象は綺麗、それだけ。会話だって殆んど事務的なもので普通にお喋りした記憶はない。
でも、何か心に引っ掛かってる。
心に引っ掛かった何か、を考える内に寮に着いてしまった。
イヤホンを外してから扉を開ける。
「君か、お帰り。」
桐条さんが出迎えてくれた
僕は軽く会釈をして何やら妙にテンションの高い会話をしている、順平、山岸、岳羽に目配せした。
その目配せに気付いた順平が妙にテンションの高い経緯を話してくれた。
「桐条先輩が遊園地の優待券を貰ったらしくてさ。皆で行こうかって言ってたんだよ。モチ、お前も行くよな?」
遊園地か…。幼い頃、死んだ両親に連れて行ってもらって以来いっていない。
中々、面白かったような気がする。
「あぁ、行く。」
「おっ!乗り気だねぇー。」
順平はからかうようにそう言って、山岸、岳羽との会話に戻っていった。
「君も行くのか…ちょっと以外だな。」
桐条さんが僕に言った。
「失礼です。」
冗談っぽくオーバーに口を尖らせて言った。
「いや、すまない。君はああいった騒がしい場所が好きではないと思っていたものだから。」
冗談が通じなかったみたいだ。申し訳なさそうに桐条さんが言い訳をしている。
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