デイダラ、サソリ
□雨宿り
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ボッカーン―…
凄まじい爆発音が晴れ渡った朝の森に木霊する。
その爆発音を聞いて、デイダラが爆発音のあった森の奥へと駆け出した。
**雨宿り****
「旦那〜!!大丈夫かぁ!?」
森の奥には、連れの蠍が粉々に吹き飛んだ傀儡を前に座り込んでいた。
「大した事じゃない、少し傀儡の仕込みを間違えただけだ。」
そう言うと蠍はバラバラになった傀儡を片付け始めた。
本人は大した事はないと言っているが、明らかに大した事とは言えない、悲惨な状況である…。
突っ込みたいのを我慢しながら、デイダラも今はガラクタと化した傀儡の残骸の片付けを手伝い始めた。
「ふぅん…、天下の“赤砂の蠍”でも傀儡仕込むの失敗することが有るんだな…うん。」
「フンッ、新入りが生意気ぬかすな。」
「ゔ…、そんなの今関係ないだろ、旦那。」
確かに暁に入ってから自分はまだ、あまり日が経っていないのは確かだが…。
今の状況では全く持って関係がない。
「旦那は新入りって五月蠅いんだよな…うん。」
「いつも五月蠅いテメェーが言うな…。全く芸術の事になると…。」
「あー、話を逸らすなよ旦那。」
流石に馬鹿らしくなってきたのか蠍は片付けが終わるとデイダラを置き去りにてサッサと歩き出した。
「旦那―、オイラを置いて先に行くなよな…うん。」
それに気付くとデイダラも追いつこうと走りだした。
「そういえば、次のリーダーからの指令ってなん何だ?…うん。」
やっと蠍に追いついたデイダラが話し掛ける。
「確か、今回は活動費を稼ぐ為に雲の国の要人暗殺だったはずだ。それくらい覚えておけ。」
蠍は歩くスピードを早めながら呟いた。
「あー…、面倒いな…うん。」
歩調を蠍に合わせながらデイダラは蒼空を見上げた。
「仕方がないだろうが、リーダーの命令は絶対だ。」
「ハイハイ…っと。」
しばらく二人が歩いて行くと雨がポツポツっと降り始めた。
「さっきまで晴れてたのに…不思議だな、うん。」
デイダラが空を見上げて呟いた。
「それがどうした…?」
「雨って儚げで見ていて心が落ち着くんだよな…うん。」
デイダラ腕を組んでうなずく。
「やっぱ芸術っていうのは、一瞬の儚さの事を言うんだなぁ…うん。」
デイダラが語り始めた。
「フンッ、お前はいつもそればかりだな。」
蠍の白けた言葉が帰ってきた。
「そんな事ばかり話す奴で悪かったな…うん。」
今度は蠍が話始めた。
「第一お前の爆竹遊びが芸術と言えるのか全く、芸術というのは永久に残る美のことを……。」
「ハイハイ〜!!話が長くなるから、そこまで。」
長引くと察したデイダラが蠍の話を強制終了させた。
そんな会話をしながら雲の国の国境を目指して歩き続けていたが…、
二人が進むにつれて次第に雲行きが怪しくなり、雲の国の国境に差し掛かる頃には天気は小雨から大雨に変わっていた。
「旦那、だいぶ激しくなってきたな…うん。」
雨は滝の様に激しく大地に降注ぎ視界が全く見えない状態だ。
「止むまで何処かで休まないか…旦那。」
豪雨の中デイダラは必死に前に進もうと、足を踏み出しながら叫んだ。
「何言ってやがる俺は待つのは嫌いなんだ、先を急ぐぞ…。」
しかし、蠍はデイダラの要望を真向から無視した。
「え〜…!!旦那は傀儡の中だから濡れないだろうけど、オイラはびしょ濡れなんだよな…うん。」
デイダラが蠍を恨めしそうに睨付ける。
稲光が光り、遠くでは雷が鳴り響いている。
「第一そんな簡単に見つかるわけが……」
「旦那あっちはどうだ…?うん」
デイダラの指差す方には大きな洞窟があた。
「……。」
「なっ?なっ?良いだろ?旦那。」
必死で蠍を見つめるデイダラ。
「……ったく、仕方がないな。雨が小雨になったらすぐに行くぞ。」
「ヨッシャァァ!」
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「はぁ、全く酷い雨だな…うん。」
「仕方ないだろ…、雨は自然に降るものだ。」
「旦那はイイよなぁ…、傀儡の中だから濡れなくて…。」
そう言うとデイダラは濡れたコートを脱ぎ始めた。
「……まぁな。」