長編
□傀儡と粘土と金髪少年
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ドーーンッ…
派手な爆発音がアジトの中に響き渡る。
「デイダラよくも俺の大切な傀儡を吹っ飛ばしてくれたな!!」
朝から大切な傀儡をデイダラに破壊されて、蠍はかなりご機嫌ななめの様だ。
「だから悪かったって言っているだろ、うん。」
「許す訳ないだろがこの糞髷〜!!」
そんな事を言いながらアジトの周りをもう何周もしている二人…。
その追いかけっこはまるで、犬が自分の尾を追う様でさっきから永遠と続いている。
「今日も平和だな。」
「そうですねぇ、あの二人は喧嘩する程仲が良いって感じですからねぇ。」
二人の喧嘩を遠くから眺めて和んでいる鼬と鬼鮫。
あの二人は必死なのだろうが他から見ればまるで戯れ合っているかに見える。
「デイダラが入った頃はあんなに仲が悪かったのに嘘みたいだな。」
「全くですね。時間は人を変えてしまうんですよ、きっと…。」
「そうだな、あの頃は散々だった。」
「捕まえたぞ、このクソ髷!!」
「ギアアァァ…!!」
バキッ…
「次も俺の大事な傀儡をぶっ壊したらタダじゃおかないからな…」
「ワーン…旦那がぶった!」
フンッ…
「………グスン、旦那なんか嫌いだうん。」
……。
前の旦那と比べたらだいぶ優しくなったよなあ…うん
「あの頃は………。」
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*傀儡と粘土と金髪少年*
「今日からお前は暁の一員だ。」
そう言う言われ半端無理矢理暁のアジトに連れて来られたオイラ。
「此所が俺達のアジトだ。」
丁寧にアジトの中を案内してくれるリーダーのペインだが、オイラはペインの言葉は全く耳に入っていない様だ。
オイラの頭の中は別の事で一杯だった。
クソッ…うちはイタチ。
あんな屈辱的な思いをしたのは生まれて初めてだった。
“お前の負けだ…。”
アイツが言った言葉が頭から離れず何時までも頭の中で木霊している…。
アイツは絶対に許さない、…必ず思い知らせてやる。
そう言っている間にある部屋の前に二人は立っていた。
「お前の部屋は今日から此所だ。」
ガチャッ…
部屋の扉を開けると中はベッドが置いてあるだけのシンプルな造りになっていた。
「まだ家具はベッドしか置いていないが、後は自分の好みに合わせて部屋は改造して構わないからな。」
「では、何かあったら連絡するからお前は待機していろ。」
そう言うとペインは部屋にオイラを一人残して部屋を去って行った。
放置かよ…うん。
部屋を見渡すとると暖かい光が窓からベッドに差し込んでいる…。
まぁ、悪くはない部屋だ。
フウッ…
溜め息を付いてベッドに座り込むと、今までの事が一気に頭を過ぎる。
いきなり暁と名乗る奴等が現われたて…“お前をメンバーに加える”とか訳の分らない事を言い出して…。
オイラが拒否しようとしたがあけっなく“うちはイタチ”の瞳術にオイラの芸術が負けてしまって…。
………。
「あ゙〜…思い出しただけで腹が立つ〜!!うん。」
ギャアギャア騒ぐ声が寂しく部屋に木霊する。
流石に騒ぎ疲れてベッドに大の字で倒れ込む。
「オイラこれからどうなるんだろうな…うん。」
無理矢理連れて来られて部屋に置き去り…。
何だか淋しくなってきた…。
淋しい…怖い…。
いつしかその二つの感情が頭の中を段々と支配して行く…。
「嫌だ…。」