書庫シリーズ
□リトルパニック
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二度ある事は三度ある様に、どうやら一度ある事も二度ある様だ…。
一度壊れた日常はそう簡単には元に戻らない。
++リトルパニック+++
鬼鮫がいつものように暁のアジトでイタチを起こそうと部屋のドアをノックした……。
返事がない…。
だがイタチの部屋の扉を開けた途端、ソレは始まっていた。
「…また、ですか?」
嫌な予感がしてドアを開けるとブカブカの服をきて、布団を頭まで被っている少年がいた。
「……。」
かなり不機嫌な様子で鬼鮫を見つめている少年…。
その少年はうちはイタチだった…。
前にも同じ事があった様な気がする…。
朝イタチさんの部屋に入ると、またイタチさんの体が縮んでいました。
by鬼鮫
「まさか、あの薬飲んでしまったんですか?」
「………みたい、だな。」
あの薬というのは同じ暁のメンバー“赤砂の蠍”が開発した年齢を若換えさせる薬の事だ。
(はぁ…。)
鬼鮫が呆れた様に溜め息をついた。
「取りあえず、着替えましょうか。」
ダブダブの大人用の服を着た今のイタチさんはかなり動き辛そうだ。
「ああ…。」
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「それにしても何でまた呑んでしまったんですか?」
イタチの着替えを手伝いながら鬼鮫が尋ねる。
「薬は呑んでいないのに、朝起きたらまた…。」
「……おかしいですねぇ。」
鬼鮫が首をかしげる。
イタチさんは薬を呑んだ覚えが無いのに…。なのにまた体が縮んでしまったのだろう…。
しかし、この出来事は今から始まる序章に過ぎなかった。
着替えを済ませてイタチと鬼鮫は他のメンバーが集まる広間へと向かった。
広間に着くと更なる事件が起きていた…。
「全くだらしねぇなぁ、オイ。」
広間から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
広間には飛段と角都、ソファには蠍が座っていた。
蠍(本体)の膝の上にはしゃっくりをあげて泣いている5歳位の金髪の少年が座っている。
リーダーやゼツは任務で不在の様だ。
「えっぐ、…何でオイラこんな目に…。」
イタチと鬼鮫が広間に入るとイタチは金髪の少年と目があった。
「お前…イタチかぁ?うん」
金髪の少年がイタチを指差して叫んだ。
何処かで見た様な…。
「!!?」
イタチも何かを感じ取る。
「そう言うお前はデイダラなのか?」
「……まあな、うん」
一瞬沈黙が流れる…。
「!!!!」
二人の言葉を聞いて広間にいた一同は目を見開いた。
「えー!?デイダラさんなんですか?」
何処かで見た事のある顔だなぁ…何て考えていたら…やっぱり…。
全くイタチさんだけでなくデイダラもこんな事になっているなんて最悪です。
「おいおいマジかよ、イタチまでチビになってんじゃねぇか。オイ!」
「この先が不安だな…。」
皆が驚いている中何故か蠍だけは黙り込んでいた。
「……。」
「それにしても、何でデイダラさんまで…。」
鬼鮫が呟く…。
「いや、その逆だ。」
角都が口を挟む。
「蠍いわく、新しく開発した毒薬の実験台にしたのはデイダラだけなんだ。」
「ああ、新しく開発した毒薬はコイツしか呑ませてない。」
蠍もうなずく。