書庫シリーズ
□蒼空の向こうに
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何気ない朝は何気なくやってくるけど…その朝はいつもやって来るわけではない…。
*蒼空の向こうに…***
今日も清々しい朝を任務先の宿で迎えたイタチだか…、今日は何だかいつもと様子が違う。
しかし、まだ本人は自分の体に異変が起こっているのに全く気づいていない。
ようやく彼が気付いたのは自分の姿を鏡でみた時だった。
ふと洗面所の鏡の前に立ってみるといつもと目線が違う、良く周りを見渡してみると何だか自分の周りにある全てのものが心なしか大きく見えた。
嫌な予感がして鏡を覗いてみると、案の定いつもと違う姿の自分がいた。
「……体が、縮んでいる。」
朝起きるとうちはイタチは7歳の子どもでした。などと冗談を言えない状態だ。
昨日の夜はサイズがピッタリだった寝巻も今はブカブカだ。
「………。落ち着け、これは夢なんだ。第一朝起きて鏡を見たらガキの姿になってるなんて有り得ない。」
自分にそう言い聞かせながらフラフラとした足取りで再び布団の方へ向かっていく。
―……。
取りあえず布団の中で落ち着いて考えてみよう。
「……。夢ではない様だな、だとすると幻術…、しかし敵の術に自分がハマるわけがない…。」
しかし、現実的に考えれば考えるほど頭が痛くなっていく。
色々な事が頭の中を駆け巡り何がなんだか分らなくなっていく。
―ハッ…
そんなことよりこんな姿鬼鮫や他の奴等に見られたら何を言われるか…。
彼の予感は運悪く的中した。
「イタチさ〜ん!」
なかなか起きて来ないイタチを心配して鬼鮫が様子を見に来たのだ。
…ビック。
心臓が大きく脈を打つ、取りあえずこんな姿を見られる訳にはいかない。何処に隠れなければ。
「イタチさん体の具合でも悪いんですか…。」
鬼鮫の心配そうな声が聞こえてくる。
しかし、隠れるにもこの部屋に人が隠れられるスペースは何処にも無い。
仕方がない、今はこの姿を隠すのが先だ。
イタチは布団を頭から被った。
「イタチさん入りますよ。…!?どうしたんですか、布団を頭まで被って。」
「……。」
「イタチさん、黙ってないで何か言ってくださいよ。」鬼鮫が心配そうに、近付いてくる。
「……来るな。俺のことは放っておいてくれ。」
「そんなこと言われても、心配なモノは心配なんです。」
鬼鮫とイタチの間はもう数mしかない。
「せめて、体調が悪いなら顔だけでも見せてくださいよ。」
「……駄目だ。」
「どうして?」
「駄目なものは、駄目だ。」
「どうしても…?」
―………。
しばらく沈黙が続いたが、その空気にたえかねた鬼鮫が遂に痺れを切らした。
「……どうしても布団から出たくないなら…強行有るのみです。」
「……、やれるモノならやってみればいい。」
「行きますよ、…。」
「…!!」
布団をどかすと同時にイタチは布団から飛び出し、鬼鮫めがけて蹴りを繰り出した。
イタチの蹴りは鬼鮫のみぞおちに見事に入った…。が、体が縮んでしまったせいかそのまま足を捕まれ、宙吊りにされてしまった。
「全くいきなり何をするんですか、…?アレ何だか何時もより、蹴りが軽い?「
「…アレ??」