デイダラ、サソリ

□雨宿り
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「アレ?旦那は傀儡乾かさないのか?」


「別にいい。」


全く傀儡から抜け出す気配の無い蠍をデイダラが不思議そういに見つめる。


「何だ…。」


「旦那はいつも傀儡の中に入っているけど…。本当はどんな姿してるんだ?うん。」


「俺がどんな姿をしているのか気になるのか?」


「うん!」


「誰が見せるか…。」


「酷い、騙したな…うん。」


「別に見せるとは言ってない。」


「旦那のケチ…!……。」


何を閃いたのかデイダラは蠍を見ていたずらな笑みを浮べた。


「そんなに本当の姿を見せるのが嫌だと言う事はよっぽど変な顔だったりして…」


「はぁ!?まさか…そんな分けないだろ。」


「じゃあ何でなんだよ…うん。」


「……。」


沈黙・・・。


遠くで雷が鳴っている。


「旦那…?」


はぁー…。


諦めた様に蠍が溜め息をついた。


「分かった…、他の奴等には言うなよ。」


「オウ!!」

(よしゃあー…!!!)



「俺が見せないとお前、絶対ヒルコを破壊するつもりだっただろう?」


「アハハ…、まあな。」


「じゃあ少し目をつぶっていろ。」


「一々注文が多いな、うん。」

ガチャガチャ…


「旦那もうイイかぁ?」


「…ああ。」


「……?旦那?」


デイダラの目を開けた前には赤い髪の12、3歳の少年が立っていた。


「本当に、本当に旦那?」


「だったらどうした?」


「可愛い…、ちっちゃい。」


そう言うと、デイダラは蠍を思いっ切り抱き締めた。


「おい………。」


バキッー……。


蠍の拳がデイダラの顔面に見事に決まった。


あまりの痛さにその場に座り込んだ。


「うぐっ…、何すんだよ旦那。」


「いきなり抱き付くからだ馬鹿。」


「だからって思いっ切りやること…。」


「フンッ…。」


「でも以外だなぁ…、もっとゴツい感じで…もっと年寄りだと思ってからな…うん。」


「雨も止んだし、傀儡も乾いたしそろそろ…行くか。」



蠍も再びヒルコの中に戻る。


「そうだな、うん。」


いつの間にかすっかり雨は止んで雲の間から太陽の光が差し込んでいた。


「ヤッパリ傀儡被っている方が“赤砂の蠍”って感じでシックリくるよな…うん。」


「まあ俺もこっちの方が落ち着く。」


「何かさっきの旦那、“蠍の旦那”と言うより“蠍ちゃん”みたいだったしな…うん。」

ブチッ…。


何かが切れたような音が聞こえる。


「あ゙ー何だと!?もう一度言ってみろぶっ殺す。」


「だから…、蠍ちゃんの方も似合ってて可愛いなぁって。」


「ぶっ殺す!!」


「さっきのは冗談だって…アハハ。」


殺気……。


「ちょと待って、まさか本気…?」


「………。」


「雨宿りしてた分早く取り戻さないと…。」


そう言うとデイダラは突然走り出した。


「あ゙!!テメェー逃げる気か?待ちやがれ〜!!」


「待てと言われて待つ訳ないだろ…うん。」





空はまるで海を映した様な真っ青な快晴が何処までも2人の上に広がっている。


〜空というのは色々な表情を見せてくれる。〜


***END***
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