BLEACH
□包まれる手に
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買い物からの帰り道。
「いや〜寒いっスねー」
「そりゃ、一年中その恰好で居ようとするのが無理な話なんですよ」
喜助が丸く器を作る両の手に、はぁと息をかけた。
全く、どこまでも変な人。
とは言いつつ、本当に寒い。この時期にそんな薄着で居られるのは寧ろ凄いことだと思う。
私の手なんて、血が通ってないのかと思う位に冷たいのに。既に指先に感覚は無い。
袖の中に手を引っ込めようとした時、急にじんわりと温もりが伝わった。
「冷たい手…凍ってんじゃないスか?」
握られた手が熱を取り戻して、駆け巡る血がまた痛い。
こんなに寒いのに、こんなに冷たい手を離さない。
その大きな手が温か過ぎて、お礼を言うのも忘れていた。
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