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□さくら 入学前編
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「っはぁ…っ…けほっ…」


洗面所の蛇口をいっぱいにだし、その下でうずくまってこみ上げてくる吐き気と胸の痛みに、着ているシャツがしわくちゃになるくらい握りしめてい耐えている少年がいた。


(大丈夫、薬は飲んだ…大丈夫っ…)

水瀬 春迦は自分に何度もそう心のなかで繰り返していた。












「はぁ…はぁ…おさ…まってきた…はぁ…」



数分後やっと胸の痛みがだんだん薄れてきて、まだ荒い呼吸をしながらもホッと肩の力を抜くことができた。



しばらくそこで息が整うまでそこで休んだあと立ち上がり蛇口の水をとめる。




顔をあげるとそこには、肌が白いため一層青白く見える自分の顔が鏡に写っていた。



もともと体が弱く病院通いが多かったが2ヶ月前に急激に悪化し、医者から僕の心臓は3年もたないかもしれないという診断を下されたのだ。




それだけならいいが、時折襲ってくる発作には閉口していた。











死ぬのは怖くない。










ただ苦しい、つらいことはイヤなんだ…。












この家には、もう僕一人しかいない。ばあちゃんの居なくなったこの思い出の詰まった一軒家に居続けることは僕にとってとてもつらいこと…









だから僕は、この家から明日出ていくことをきめたんだ。
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