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□さくら 出会い編
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「すみません。春迦さん、起きられますか?そろそろ学園着きますけど。」



「…ェッ…もう着くんですか??」

「はい。入学式は9時からですので、後1時間少しありますから、一度寮に荷物を置きに行かれるのがよろしいかと。」

たしか家を出たのが朝の5時だったから、3時間もたっていたのか…。









外を見ると、目の前にはまるでイギリスの宮廷みたいなきれいで大きな建物が広がっていた。








(…僕は…飛行機に乗って…ないよね???)






まだ寝ていれ頭でいろいろ考えてみたが答えは出ず、思い切ってきいてみることにした。




「多村さん、ここは…、日本ですか?」









「春迦さん…、ちゃんと目が覚めていますか?
ここがあなたが三年間通われる光蘭学園ですよ。」






「ここが…学校…」


「パンフレットなどで確認していなかったんですか?」


「…。」


何故入学式当日に学校にきたのにも訳がある。


一週間前にこの高校に入学する事が決まり、引っ越しの準備やら掃除やらで疲れ果て、出発する日であった二日前に具合が悪くなってしまい、入学式当日になってしまっていた。







少し遅れて
「パンフレットに目を通す余裕がなくて…。」

という返事を多村さんに返すと、そこには誰も座っていなかった。


ビックリして辺り見回すと、春迦から一番近いドアが開いた。







「お疲れ様でした。ここが光蘭の学生寮になります。春迦さんお荷物をお持ちします。」


「大丈夫です。ありがとうござい。」

深々とお辞儀をする。





それを見て多村さんが少し驚いた顔をしてすぐ、嬉しそうに微笑んだ。




「よろしいですか?わかりました。私は此処で失礼しますので、何かありましたら、連絡をくださいね」



と言いながらスーツのポケットからだ出そうとするのを見て春迦が急いで話しかけた。






「今日は何から何まで、本当にありがとうございました。それじゃ、これで… さよならっ」







ごめんね、多村さん。


でももう決めたから、人と深く関わらないと…。









「春迦さんっ、待って!…

いってしまった…。」



もう一つ言っておきたかったことが言えなかった。










“藤堂崇様にはお気をつけて…”
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