ロンリーガール.

□それって、おいしい?
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なんでた、私は悪くないよ。なのに、なのに、なのに、なんで、なんで、なんで…。




迷子になるのぉぉっ!?



私は道端にしゃがみこみ、ため息をついた。大体、こんな可愛いレディ放って置いて斯く斯くしかじか話してる方が悪い!なのに、迷子になるなんてっ!なんで私を放って置いたんだよっ!髭爺!狸爺!嗚呼、まねしてやんよ!リドル君!狸爺!って呼び方をねっ!




「…性格悪いってよく言われない?」



『リドル君よりは良いよ、勝手に思考回路に入って来ないで。内面不細工。』




目の前に見える黒い靴をたどり、上を見ると呆れたような顔をしたトム・リドルが居た。




「…君って何?…まぁ、今の様子を見たらただの馬鹿か」



『うるせー、お前の本性は透けてんだよ内面不細工ってな。』



「ごめんよ、君と違って、君と違って!外見良くて。」



『死ね、リドル!』




「お前がな。」




二回言った、二回言いなさった!二回!なんだ何様だですか。まだあの時代じゃないよ!言っとくけどお前将来毛根死滅してるんだからっ!



「…全く、あの狸爺。…お前の準備に付き合ってやるから来い。」


『あの、一ついい?』


「なんだ、」



『友達いないでしょ?』



「チッ、」



『待って下さい、世界に来て二時間か三時間だよ?ね、ね?杖しまって。』



「知るか、」



『まっ、まったまった!そんなに踏んじゃいけない地雷だったなんて知らなかったの!』




「…二度と言うなよ。」



『うっ、うん!』




私は頭をコクコク何度も縦に振り、歩き出したリドル君の背中を追いかけた。




「最初は教科書を買いに行こう。」



『どこだっけ?』



「あそこ、…ナナ、君は杖を買いに行ってきてよ。(無駄に時間かかりそうだし。)」



『も、もしかして!オリバンダーの杖ですかっ!?』



「早く行ってきて。」



『うん!』



私はきっと、うざいくらい目が輝いていたに違いない。リドルはそのまま私に背中を向けてスタスタと歩き出し、私は反対に歩き出しオリバンダーの店へ入った。







「おや、珍しい東洋の娘さんだね。いらっしゃい。」


『いらっしゃいましたー!』



「なかなか、活発そうなお嬢さんだ。…さてお嬢さん、どんな杖をお探しかな?」



『はい!私にピッタリな杖をお願いします!』


「んー、これはどうかな!日本にある松ノ木で出来た杖だ、この杖を作った職人はちょっと変わった人だったのを覚えてるよ。」




「まさに君にぴったりじゃないか」


『―わおっ!しっと!びびったよ!リドル君!』



「口が悪い、ナナ。黙らそうか。」



にっこり笑っているリドル君、勿論それは御免だから、オリバンダーさんが差し出した杖を受け取った。




「先に言っておくけど、人に杖を向けたりしな…」



『えいっ!』



「―うわぁっ!」


その瞬間リドル君が、どーんっと壁に吹き飛ばされて近くにあった花瓶まで割れた。私は色んな意味で恐ろしくなり、オリバンダーさんに杖を返す。





『やー、ほんと、人に杖向けちゃいけないですね、ははっ、』


ふざけるなよ
『ぎゃああああっ!ほんっとーにごめんなさいっ!リドル様っ!』



「僕に、二度と杖を向けないと誓え。」



『はい!誓います!』




私がそう言うと、リドルはふんっと顔を反らした。




「では、こっちはどうかな?…これは確か日本にある、桃の木を使ってつくられた杖だ。」




そっと杖を受けとると、杖の先からふわふわした桃色の妖精が飛び出し、リドルや私とオリバンダーさんの周りを楽しそうに踊り出した、なんて事はなく桃の杖からは黒い蝶が金粉を撒き散らしふわりと消えてたいった。





「それで決まりだ、お嬢さん!」



『何処がですか!?』





こうして、私の杖は無事?に見つかりお代を払い、リドルとお店を出た。




「明日は新学期だ、遅刻するなよ。」



『うん、よろしくリドル。』




「…後漏れ鍋に部屋をとってあるみたいだから、漏れ鍋に帰れ。荷物はそこに届けるよう伝えといた。」



『…う、ん。ありがとう。』



「おい。」



『なに、』



「ローブ離せ、帰れない。」



魔法使いだ、やふおおおいっ!だった私。でも何か寂しい。ダンブルドアの事だから家族との事は色々してくれたろうけど、明日は入学式的な感じだから、不安だし、恐怖心もあるし、だから、何故か帰ろうとしたリドルのローブを掴んでしまった。いや、なんか、あれだよ、好きとかじゃないよ、ほら、だって…今、私が頼れるのリドルだけだし…。



『…明日、大丈夫かな』


「…………、」



『ご、ごめん!…帰る!』




私は黙るリドルのローブを離して、歩き出した。なんだ、今の空気。それに、リドルに私の不安話しても無駄だった!将来いろんな人にアバダ使いまくる人だからな。鼻で笑って終わりだよね。




「―待て、」



『―わぁっ!…な、なに!』



「これ、」



リドルがぶっきらぼうに、差し出す何か。手を差し出し受けとると、リドルはローブを翻し人に紛れてダイアゴン横丁に消えた。







『…うそ、』




箱の中身は、カラフルな銀紙に包まれたチョコレート。あれ、なんかキャラおかしくない?とていうかリドル君、君ってさアバダする人間だよね。君ってさ、マグル嫌いじゃないの?そっか、私がマグルって知らないのか。そう考えたら、なんとなく膨らんだ気持ちが縮む。


「…まぁ、いいか」



でも、何か思ったよりリドルって優しいのかな?ん、あれ?、優しいってなんだっけ?





それって、どんな匂い?
どんな感じ?




それって、おいしいの?










***
それは、チョコレート
みたいな感だよ。











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