ロンリーガール.
□かぼちゃぱい
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かぼちゃぱい、かぼちゃぱい。うわぁああああっ!私の目の前に、かぼちゃぱいがあるうぅっ!スリザリン!と叫ばれショックだった事も忘れて私は、出来る限り大きく口を開けてかぼちゃぱいを口に頬張った。
『…んま、うひゃー幸せ、』
「お前って、安い女だな。」
『あ、オニオン、オニオン食べなよ。』
「オリオンって言わなきゃ、カボチャジュースあげないぞ。」
『オリオン様、カボチャジュースください。』
「よろしい。」
「安いのはお前達の会話だろ。」
『ぐほっ、つまっ、ゲホッ』
「あー、もう」
リドルはため息をついて私の背中を擦りながら、隣に座った。
『…ふう、危うくカボチャ畑に行くところだったよ。』
「行って帰って来んな。」
『死ね、オニオン!』
「オリオンだっ!ったく誰が玉ねぎだよっ!」
「五月蝿いよ、オニオン」
「あ、リドルまで。…やってらんねー」
『あ、オリオン、糖蜜パイ取って。』
「…ほら、」
『ありがと…―なっ、何すんのリドル!』
オリオンが取ってくれた糖蜜パイ、フォークを刺そうとすると糖蜜パイの乗った皿が避けられた。
「駄目だ野菜を食べて。そんなんだから寝坊するんだよ。」
『リドル、根に持つと友達に嫌われるよ。』
「生憎、僕は馬鹿で不健康な人間とは友達にならないんだよね。」
『むうっ!私だって優等生面の嘘っぱちの根暗で、意地悪な人間とは友達にならないもん!』
「…根暗?」
『じゃなきゃ、闇の魔術のけんきゅっ―ふがあっ!』
私の口に、ブロッコリーが無理矢理突っ込まれた。リドルの瞳が茶色から紅く染まった気がする。私は、ふふんと鼻で笑う。
『でも、大丈夫だよ。リドル。』
私はリドルから糖蜜パイを奪い返して、フォークをブスリと差した。
『私だって貴方と同じなら、そう考えて、そう望む筈だから止めたりしないわ。』
リドルが、私をじっと見つめる。
『けど、いい事教えてあげるよ。』
「…何、」
『私が来たからには、絶対一人にさせないんだから。…そして、それから決めるのは貴方よ。』
私は言い切ると気を取り直して、糖蜜パイを頬張る。オリオンはお熱い事でとからかっていた。言われた本人は、私をまだ見つめている。
「なんだよ、プロポーズみたいな?」
オリオンがケタケタと笑って言った、私は糖蜜パイをひたすら平らげる。
『え、そうだよ。今の、』
「…僕が承諾すると?」
『しないの?』
「…君って…本当に何考えてるの?」
リドルが私の頬に手を伸ばして唇についた、小さなパイのカスを取る。
『…んー、何にも。』
「だろうね。会ってたった二日しか立ってないのに、プロポーズなんてどうかしてる。」
『そう?』
「…嗚呼、でも…僕も、かな。」
俯いたリドル。私は痛そうに悲しい表情を浮かべたリドルの顔を見て、この人は本当に寂しくて、誰も信じられない、孤独な人間なんだと実感した。
「…信じないから、僕。」
『いいよ。でも今日から私、婚約者ね。』
遠目からでも、各寮のお姉さまの視線がびしばし痛いけど私はこの世界に、この時代に来た時に頭の何処かで決めていた気がする。
『…独りにさせない。』
私がポツリと言った言葉、でもリドルには十分聞こえてたのかそう、と返事をするとスープに手を伸ばし、食べ始めた。
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未来を変えようとか無理だけど、貴方を愛してあげたいと思うの。
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