ロンリーガール.
□いや、馬鹿だろ。
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新学期になると、あのトム・リドルに変な金魚の糞がついてきた。背も低いし、何か馬鹿っぽい。…いや、馬鹿だろう。俺は、目の前で目玉焼きにブスリとフォークを差すナナをみていた。あのトム・リドルが相手にするんだから理由がある。なのに彼女は普通の女だ。五年生になって、編入してきた以外は。
「お前、なんで突然編入してきたんだよ。しかも知識ゼロで大丈夫か?ふくろう試験もあるのに。」
『うわっ、玉ねぎ入ってた』
「…何だろう、この複雑な気分。」
「ナナ!」
俺とナナは同時に声の方へ向き、飛び上がった。何故ってリドルが怒りながらズンズンとした足取りで自分達の方へ来たからだ。
「昨日あんなにみんなの前で、婚約者だのって言っといて、僕を放って置くなんて。」
『え、だってお姉さま達がリドルに群がって近付けないし、あそこの席、糖蜜パイ無いし。』
「後者の方が本音だろ。」
『えへ、でもリドルも満更じゃなそうだったよ。お姉さまと仲良くしてたじゃない、私という人がいながら。』
「お合い子さ、君もオリオンと居る。」
『え、私リドルと一緒に食べたかったよ?ちゃんとー。』
「…あっそ、」
『…反応薄っ!妬いてるかと思ってフォローしたのに。』
そんなナナの態度に、無愛想な面をしながら隣に座るリドル。まぁ、何だかんだ言ってリドルの表情は柔らかいのを見ると、たった三日とか四日とか騒いでるけど仲が良い。あ、何か…羨ましい。
『ちょっと、私のお皿に玉ねぎ乗せないで!』
「食事のバランスが悪いから、夫になる僕が野菜も食べるよう面倒見てるんじゃないか。それに、嫌だからねコロコロしてる嫁なんか。」
『むっきゃあー!!私の贅肉まで愛しないよっ!この根暗野郎!』
「黙れ馬鹿。」
『きいいいいっ!』
やっぱり羨ましく無いや。うん、けど何か面白いから暫くこいつらと居ても良いかなとか思う。後、この馬鹿の正体を知るまで。
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「俺の皿に然り気無く玉ねぎ乗せんなよ!」
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