俺の、僕の、妹.
□ブラック兄弟と妹.
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『レギュラス兄様、早く!』
「ハナ、父上が心配そうに見てる。手を振って。」
『あっ、父様!行ってきます!』
「…はぁ、どうして僕がハナのお守りなんか。」
口ではそう言うものの、レギュラスは妹であるハナの手を確りと握り九と四分の三番線への壁を通り抜けた。
「ハナ、コンパートメントは限られてるから急ぐんだ。」
『もう、兄様は!私だって二年生よ?』
「まだ二年生だろ。僕は君より三つ上。」
『ふん、いつかレギュラスの成績を抜かすわ!』
そんなやり取りをしながら、汽車に乗り込むとブラック兄妹を見ようとコンパートメントから野次馬が頭を出していた。
中にはハナを称える者も居れば、容姿端麗なブラック兄弟の妹である事を妬む者も居た。そんな野次馬が投げる言葉を気にしないハナだが、誰かが漏らした言葉にレギュラスの前を歩いていたハナの足がピタリと止まった。
「グリフィンドールのシリウスを見た?馬鹿みたいにコンパートメントを占領して騒いでたわ。ブラック家の恥じが、よくも堂々とホグワーツへ来られるわ。」
レギュラスはため息をつき、動こうとしない妹のフルフル震える背中を見つめた。
『ちょっと!あなっ―』
「ブラック家の何を知ってそんな口を聞いているのか、是非教えてくれますか。次いでに、そのブラック家の人間の前でそんな話しをしていいのかも。」
『―!!…兄様!?』
ハナは、自分の前に立ちはだかった兄の背中を見つめた。
「―あっ、あのっ!レギュラス君…わっ、わたし!」
「僕の妹の前で二度と、そんな口を利かないで下さい。」
「…あっ、あの」
「いいですね?」
普段面倒事には関わらないレギュラス。そんなレギュラスからの制裁に、野次馬を飛ばした本人と話しを聞いていた連中は頭を縦に何度も動かし頷いた。
「ハナ、行こう。」
『うっ、うん!』
ハナは、自分の代わりに重いトランクを持ち前を歩くレギュラスの背中を追いかけた。
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