俺の、僕の、妹.
□イビツな心.
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「いいこと?貴女はただの養女でありながらレギュラスに特別扱いされるなんて!勘違いしないで。」
『…勘違い?』
「惚けてるんじゃないわよっ!」
あの時、レギュラスから激しく制裁を受けた女はハナに杖を向けた。当の向けられた本当は、ぼーっと杖を見つめている。
「なによ、ハッタリだと思っているの?貴女より年上の私を馬鹿にしてるの!?」
どうやらこの人は、ヒステリックな上に癇癪持ちらしい。ハナは、困ったと頭を傾げた。
だが、次の瞬間ハナの体は宙を舞い壁に打ち付けられる。
トイレに笑い声が響き、罵声を浴びせられながらもハナは表情なに一つ変えず、のそのそと起き上がった。
『…あの、これで貴女の気がすむの?』
「あんた、まだ足りないの?」
『…これで貴女の気がすんで、シリウス兄様を馬鹿にしないなら…、私は我慢するわ。』
彼女を囲んでいる三人は、口をポカンと開けハナを見る。
「我慢って、やっぱり馬鹿にしてるんでしょっ!?」
「悪いな、俺の妹は真面目に言ってるんだ、そいう性格でな。」
『っ、シリウス、に…さま?』
「にしても、女の子ってこんな事するの?」
『…じぇ、ジェームズさん』
「ハナちゃん、ジェームズでいいよ。」
『え、は、はい。』
にんまりと目の前で笑うジェームズ、ハナは瞬きを何度か繰り返た。
「さて、シリウス準備は万端だけど。」
「俺もさ、ジェームズ。」
***
「あはははっ!見たかい、ハナちゃん!あの子達ブタの尻尾が生えたらキィーキィー、生やすなんてしなくても、あれは豚だね!」
「はははっ、ジェームズ!ナイス!」
ハイタッチをし、満面の笑みで笑うシリウス。ハナはそんなシリウスをじっと見ていた。
「…ははっ、おや?シリウス、君の妹ちゃんが熱い視線で見ているよ。」
ジェームズの言葉に、シリウスはハッとしハナを見た。ハナはシリウスと目が合うと下に俯く。
「じゃあ、シリウス。君はハナをスリザリの寮まで送るんだぞ。」
「あ、おいっ!ジェームズ!」
ヒラヒラと手を振り去るジェームズ、シリウスは俯いたままのハナをチラリと盗み見て、気まずさに頭をワシャワシャと掻いたのだった。
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