俺の、僕の、妹.
□兄弟.
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『きゃあああっ!』
「わああああっ!」
大きく生い茂った木に、二人乗りをしていた箒が突っ込んだ。その光景を、何故そうなるかの全て見ていたジェームズは転げるように笑い声を上げて笑い、リーマスは心配そうに顔を歪めた。
『にっ、兄様!?』
「…いっ、て。ハナ、箒を操るにはパニックになったら駄目だって言ったろ?」
シリウスは、自分にまとわり付く枝やら葉っぱを払い、ごめんなさいと謝るハナの頭を撫でた。
「可愛いわね、ハナちゃん。」
「リリーには負けるさ、」
「…僕お邪魔かな?」
「いいえ、リーマス。居てちょうだい、ジェームズが何するか分からないから。」
「…否定はしないよ、七年たって君との恋がやっと実ったんだ!がっつかない方がおかしいだろ?」
そう、ジェームズとリリーはなんと付き合い始めたのだ。
「…世の中ってのは不思議だな、ジェームスとエバンスがくっ付いたとか。」
ブツブツと喋るシリウスは、片方に箒を抱え、片方にハナを抱えるとみんなのもとへ向かい歩き出す。
『…にっ、兄様っ!私は大丈夫だから!』
「嘘つけ、足引きずってたろ?」
『…兄様…、皆さんの視線が痛いよ。』
「痛いっ!?何処が!?…足か?腹か?」
ハナの言葉に過剰反応するシリウスは、ハナの顔色を見ようとするも抱えてるため、その場でぐるぐると回る。
「痛いのはお前だ、シリウス。」
「何だよ、ジェームス。」
『兄様、やっぱり…視線が痛いわ。』
「全く、妹と戯れる位なんだよ!…見んなブスッ!」
「最低だな、シリウス。シスコンもいいとこ。」
「私も同感、」
「…あのさ、女の子達の集団泣き出したよ。」
『…兄様、下ろしてください。』
「仕方ねぇな、」
シリウスは渋々ハナを降ろす。
『大丈夫よ、シリウス兄様。』
「ん、無理はするな。」
シリウスが腕を伸ばし黒くサラサラした髪をわしゃわしゃと撫でれば、ハナは恥ずかしそうにはにかみシリウスを見上げる。
そんなハナに、シリウスもはにかんだ。
「ちょっと、シリウス!なに僕らよりイチャイチャしてんだよっ!」
「うるせー、羨ましかったらエバンスをみんなの前で抱きしめてみろ。」
シリウスはハナを後ろから抱きしめ、ジェームスににやりと笑った。
「あらら、まるで恋人だわね。これから大変ね、ハナちゃん」
『私は、シリウス兄様が大好きだから大丈夫。』
「ふん、羨ましいか?ジェームス。」
「自慢するな!妹だろ!い・も・う・と!」
「ハナ、次からは僕に箒を教わりに来てください。」
『―あっ、レギュラス兄様!』
「…レギュラス、」
レギュラスの登場に、ジェームスやリリー、リーマスはお邪魔かな、と言い城内へと向かって行った。
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