V
□泣いた赤鬼
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俺を見るなり声をひそめて話し出す
いつからか流れたありもしない噂は段々と豪華になっていき……
安田「前の学校で先生と愛し合ってたら妊娠させちゃって、
お腹殴って流産させた転校生の渋谷くん?」
屋上で一人弁当を食べていると、安田という男に話しかけられた
渋谷「……は?」
自分でもそこまで話が進んでいるとは知らなかった
安田「や、わかってるで嘘やって」
だっておかしいやん、それ刑務所入りやんって笑う安田
なんだかこいつとは仲良くなれそう、そう思って口を開いた
渋谷「俺友達おらへんねん、その噂のせいで」
クラスがちがうため、昼だけ安田といるようになった
安田は俺を渋やんと呼ぶ
別に俺をわかってくれるのなんて一人でいい
そう思ってたけど噂は歯止めがきかず
とうとう教室にいることができなくなった
渋谷「……」
落胆している俺をみて、安田は口を開いた
安田「いいこと思いついてんねんけど」
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