オリジナル小説

□a tragedy in one week
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〜昭和58年春〇〇県憂影村〜
「行って来ます…て、誰も居ないか…」
俺は幡谷 浩二中学2年生、中学1年の終わりに親の都合でここに引越してきた、引っ越して来て直ぐに両親が失踪、今は学校のこともあり親の財産を使い一人暮らしをしている。
「いい加減慣れなきゃな…」
そう呟くと鍵を掛け家を後にした。
「浩二君、おはよう。」
後ろの方から声がしたので振り返ると一人の女の子が走ってきた。
「おはよう。」
そう言い俺は再び前を向いて歩き出した。
「わっ、ちょっと待ってよ〜」
彼女は焦り走って俺に追い付いてきた。
彼女は加藤 結衣、中学2年生、いわゆる御近所さんだ、親が生きていた時は家族ぐるみで仲が良く、俺の親が失踪した今でも良くしてくれている。
「ああ…そういえば昨日のコロッケ美味しかったです、ってお母さんに伝えておいてくれ。」
こういう風にたまにおかずを家まで届けてくれる時もある。
「あっ、うん分かった〜。」

学校まで大体30分こんな話をしながら二人で歩いてきた。
「朝からお熱いねぇ〜御二人さん?」
後ろから聞き慣れた声がした。
「馬鹿…そ、そんなんじゃあねぇよ!」
「………」
結衣は顔を赤くしてうつむいている。
「ハハハハ…冗談だよ」
「たく……」
こいつは竜野 恵美、中学3年生、結衣の幼馴染みで、俺の親友でもある。
「さてと…サッサと教室に向かおうか?」
時計は既に8時40分をさしていた。
「…そうだな」
俺たちは教室に向かった。
この村には学校が一つしかなく、当然村にいる学生は全員ここに通う事になる、無論教師は一人しか居らず、学年等無い、下は小学3年から上は中3年まで計12人が学んでいる、教える幅が広く一人では見切れないので俺が代わりに教える時もある。
「お…浩二、朝から両手に花だね。」
教室に入ると一人が立ち上がり笑いながら近付いてきた、
こいつは並木 裕平中学3年生で、気の合う大切な男友達の一人だ。
「おや〜そう見えるかい?あたしも捨てたもんじゃないねぇ」
「…………」
結衣はまた顔を赤くしてうつむいている
「冗談言うなよ…たく…」
「その割りには顔が赤いぞ、浩二?」
後ろを振り向くと背の高い女の子が立っていた。
彼女は古奈季 小夜中学2年生、しっかりした子で、村長の孫娘らしい。
「そんな事無いって、小夜…それよりも……もしかして邪魔だった?」
「別に平気だ、私は今来た所だしな。」
そう言うと微笑んで自分の机に走って行き鞄を置き戻ってきた。
「小夜ちゃん、最近来るのがやけに遅いね、何かあったのかい?」
裕平は小夜が落ち着くのをまち聞いた。
「……いや、別に何でも無い…」
その時、後ろから咳払いが聞こえた。
「お〜い、もうチャイムは鳴ったぞ、席につけ。」
皆は自分の席に向かった。
授業は何の問題もなく終わった。
 

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