キミと僕らの92日間。
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「そんなワケだから、よろしく頼んだよ」
ニッコリと黒い笑顔でそう締めくくられたら、やっぱり適わないけれど。
一体なにが
「そんなわけ」
なんだろうか。
口早に説明された状況についてゆけず、目の前の魔王をジッと見つめるが、
彼は相変わらずニコニコと微笑むだけで、それ以上は何も語らない。
むしろ、
「用は済んだんだから早く帰りなよ」と無言の圧を感じる。
…いや、負けちゃだめだ。
幼稚園の頃からの力関係を今こそ覆えせねば!
「精市くん、
「用は済んだんだから早く帰りなよ」
……………。
私はコクン、と頷き、真っ白い病室をあとにした。
嗚呼、ルーザー。
振り返れば、病院の二階の窓にはヒラヒラとこちらに手を降る幼なじみの姿。
恐ろしい。
後ろに鎌すら見える気がする。
今しがた頼まれたことをすっぽかしでもしたら、
「役立たずは逝きなよ」とか言われて、私は死ぬにちがいない。
なんと恐ろしい!
なんとしても、精市くんからの任命を全うしなくてはいけない。
魔
王
の
お
導
き
のままに。
(でもやっぱ怖いよ〜…)