過去crap
□8月:柳
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「昨日柳が夢に出てきたよ」
なんか用だった?
と、至極普通に質問をしてくる目の前のこのクラスメイトは、やはりどこか変わっていると思う。
虚を突く質問にはもう慣れた。
俺も至極普通に答える。
「いや…特に用はなかったが」
「知ってる?誰かが夢に出てきたら、自分がその人のこと考えてるからじゃなくて、その人が自分のことを考えてるからなんだってさ」
柳は私のこと考えてたんだねぇ、とからかうように笑えば、3限の宿題を纏めたノートを颯爽と奪い、当たり前のように写し始める。
「相変わらず図々しいな」
という皮肉の言葉とは裏腹に、己の頬が緩むのを自覚する。
「いいじゃん!私と柳の仲、ってことで!」
それは一体どんな仲だというのだろう。
俺としては
もう少し深く掘り下げたい事項ではあるが…
……………………、
全く…俺としたことが、どうかしている。
「ちなみにだが、
俺の夢には毎日お前が出てくるぞ。」
一体どういうことかな?
と覗き込んだその顔を見れば
少しは良いデータが取れる、かも知れない。
蝉の鳴く、教室にて、8月。
(っそれは柳が私のこと考えてるからだよ!)
(ほう、先刻と話が違うようだが?)
(〜〜うるさいっ!)