過去crap
□9月:真田
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「…コレ、どうにかして」
さっきから私の右肩が重いのは、
「真田、飲み過ぎじゃの」
「にお、笑ってないでなんとかして!
つーかウチら未成年。」
私の頭3個分以上身長のある図体の持ち主の全体重が、無遠慮にものしかかっているから、で。
…あぁ、何故こんなことに?
ブンちゃんとの屋台巡りに胸踊らせていたはずの夏祭りが、これじゃあ真田のおもりで終わってしまうじゃないか!
「誰よ真田にビール飲ませた奴!責任取って面倒見ろ〜!」
「僕だよ」
………ぶ、部長様…。
「…………、なぜです?」
「面白いからに決まってるじゃない」
…部長様がそう仰るのなら、そうなのでしょうね。
ならば逆らえまいて…。
絶対零度の笑顔に曖昧な笑顔を返して、気付かれないように溜息をひとつ。
と、右肩が一瞬軽くなる。
「あ、起きた?」
「……………」
…いかん、完全に目が座ってる。
「…真田?…オーイ…」
「お前は俺のことをどう思っている」
「は?」
開口一番なにその質問…
てゆか、手ぇ握るなっ!
「ちょ、ねぇ!ジャコ!真田がセクハラしてんだけど!見てないで助けろ!」
「他の輩と話す必要などないぞ!俺を見ろ!」
ぐりん、と真田の両手が私のほっぺたを包み、自分の方へ戻された。
「しゃなだ…いひゃい…」
「ハァッハッハ!
…可愛い奴め」
「手ぇ離して…」
「離さん。
お前は…俺だけを見ていろ」
(ちょ、真田…酔ってる…んだよね?)
私としたことが、なぜか心臓が高鳴ってきた。
「さな…、」
「目を瞑ってみろ」
「な、なんで」
「でないと一生お前を離さんぞ」
(…それは嫌)
仕方なく、言われた通りに目を瞑る。
少しだけ、私の頬に添えられた真田の指が震えた気が、した。
(…………ん?)
「お前は俺のもの、だ」
!!?
いいい、今………
「あーっ?!副部長チューしたッスよ今!ズリィ!!」
少し遅めの、夏祭りにて、9月。
(おはよう)
(…………)
(む。何故無視する)
(…死ねエロオヤジ。老け顔。加齢臭。ポマード)
(な?!)
(忘れてんなよバカッ)