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□屋上、青空、キミを待つ。
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青い空。それにポッカリと浮かぶ雲。そろそろアイツが来たっておかしくない頃だ。
俺はよく見かける、ダイヤ型がひしめき合って並ぶフェンスに体をもたれかけたままぼんやりと空を見上げた。
この季節特有の、サワヤカでイイ天気。
そんな日の屋上で、授業が行われているはずの教室棟を見下ろしながらの一服。
コレでアイツがいればサイコーなんだけど。
…ってか、そろそろ絶対に来る。たぶん。
そんなコトを考えていたとき、待ち望んでいた音が聞こえた。
ノブが回って、それから軋みながらドアの開く音。
俺と背丈は同じくらいの、少しひょろっとしたカラダを持て余したように歩いてくるのは、俺の待ちビト。
やっぱり。来てよかった。
しかもこのタイミングで。俺ってやっぱラッキー。
「秋津ーっ」
振り向いて手を振った相手は、いつも通りにイヤそうなカオで、それでも近付いてくると俺の隣でフェンスに背中を預けた。
「またテメェかよ…」
呆れたように吐き棄てるその表情がカワイイなんて、俺ってばちょっとビョーキかもしれない。
うん、やっぱ不治の病かも。
そんな下らないコトを呑気にも考えながら、俺は横目で胸ポケットからお目当てのモノが見つからないらしい秋津を見て笑う。
「吸う?」
差し出したのは、今まで俺が銜えていた、コイツが来る前に出したばかりの一本。残念だけど、ラキストを吸ってたハズの秋津とは違う銘柄。
「よこせ。」
まさか受け取ってもらえるとは思わなくて、挟んでいた煙草を奪われた指を、俺は呆然として見つめる。
コレは…期待、してもいいワケ?
…それとも、単なる気紛れ?
訊こうとして、けれど既に俺があげた煙草を深く吸い込んでいる秋津の、その金の髪と青い空がとてもキレイで。
ま、いっか。今度で。なんて。
あっけなく喉まで出掛かったコクハクを呑み込んで、俺はソレを別の言葉に擦り替えた。

「悠生。今度、遊びに行こっか。」

俺たちの間を、ふわりと秋めいた風が吹く。
冬が来るまでに、キミは俺のモノ、かな?





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こんにちは、一条です。
また暫く潜んでいる間に季節はいつのまにやら秋。
これはそろそろマズい、と焦りつつようやっとの思いで這いだして参りました新作です。
青い春を青臭く生きてる少年たちの初秋を書こうとしたこの話。←
受けの仔はやたらとイメージやらまで決まりましたが、攻めの方は実は名前すら決まってはおりません;
彼の一人称なのに…なんと哀れな……←
それにしても彼らはまた書ければ面白いと思っているのでそれまでに攻めの彼が私の頭の中でいかに動いてくれ
るかが楽しみです笑
それでは、読んで下さり有難う御座いましたm(__)m

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