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□相沢部長と小林くん。※R18
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「小林、来い」
「…はい」
凛、とした貴方の声が騒がしいフロアの中で、俺の名前を呼んだ。
きっと、俺がさっき提出したばかりの書類に不備があったんだろう。
それに対する叱責だというのに…俺の心臓は、期待と高揚感でどきどきと鼓動を早めている。
焦る気持ちを抑えて、ゆっくりと彼のデスクに歩み寄ると、さっき提出した書類を突き返された。
「やり直しだ。今夜も残業してもらうぞ」
「はい…」
いつもの台詞に、今夜も相手をしろという意味を汲み取って、俺は微かに唾を飲み込みこくんと喉を鳴らす。
その仕草に既に興奮していることを知られてしまったのか、書類ごしに触れた指先を軽くくすぐられた。
まだ我慢しろ、と視線で命令される。
「…失礼します」
俺は返事をする代わりに軽く一礼して、暴走しそうになる下半身を宥めながら、自分のデスクに戻った。



俺―――小林翔太は職場の上司である相沢尚樹さんのペットをやっている。
ペット、と言っても性欲処理の為の存在と表現してしまえば、可愛さの欠片もない。
初めは、やらなければ会社をクビにすると脅されて嫌々やっていたけれど、最近では俺の方が相沢部長に夢中な気がする。
仕事の出来が悪いと、さっきみたいに残業を言い渡される。
俺たちだけが知る残業の意味。
それは職場に誰もいなくなってからの情事を意味している。
基本的に仕事熱心な相沢部長は、指導だ何だと称して、俺にエッチなことをしてくる。
彼いわく、頭の弱い俺には身体で仕事を覚えさせるのが一番だそうで……。
当然のごとく、昨夜もたくさん叱られて色んなお仕置きをされてしまった。
(まぁ…すげぇ気持ちよかったけど…)
最近、あの声で名前を呼ばれただけで期待してしまう自分がいる。
今も見た目には分からないほどだけど、俺の分身は小さく疼き、反応を示している。
これでは本当に仕事にならない。
(あーあ、早く夜になんねぇかな…)
そんなことばかり考え、悶々としながら俺は仕事を再開したのだった。

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