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□笑顔に敗けたんだ
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 閉じ籠もって、他人と目を合わせないで、そうやって俯いてれば。僕の気持ちなんてきっと、誰も分からない。見過ごしてくれる。
 そう、思ってたのに。
「なあ! 木下ってば!」
 びっくりして視線を上げれば、直ぐ目の前に整った、僕がずっと見惚れていた顔。思わず仰け反って、顔が赤くならないように必死で祈る。
「な、なに…?」
 ああ、僕は今どれだけびくびくして見えるんだろうか。坂倉くんみたいに言いたいこともちゃんと言える、思いっきり笑える人間になれたら。
 だから憧れたんだろうな、なんてそんな自分に失望する。
「あ、ごめんな? ビビった?」
「だ、大丈夫……」
 慌てて首を振る。あんなに憧れていた彼との会話なのに、今はただ早く終わらせたくて堪らなかった。僕が、醜態を晒す前に。
「クラスお別れ会だって。ボーリングと、カラオケ。木下も行かねえ?」
 ニカッと笑う。邪念なんて微塵も無さそうなその顔。だけどこの一年、俯いて地味である事を目標にしていた僕がみんなと遊びに行って馴染めるわけがないんだ。
「い、行かない…」
「そんな事言わないで行こうぜ! …いや、ムリにとは言わねえけど…オレ、一回木下と遊んでみたかったし! な?」
 その笑顔に負けた。好きだったんだ、坂倉くんが。だから、欲に負けたというか。
「……じゃあ、行っても良いかな?」
 長く伸ばした前髪越しに上目遣いで訊ねれば、坂倉くんは一瞬だけとても変な顔をした。
「…よっしゃ、決まり! クラス全員参加でーす!!」
 そう言いながら長い腕を振り回してクラスに触れて回る彼を見た瞬間、チラッと後悔の念が頭を過ぎる。でももう、後には引けなかった。
 結局、僕はいつかまた、この笑顔に負ける日が来るんだろうな、なんて。そんな、何だか変な予感がした。





 (来年もまたこのクラスがいいなー…な、木下!)
 (え、あ、うん……!)







──────────

なにが書きたかったんだか全く解らない話になりましたorz
あああああショック^q^
珍しく主人公は完全な同性愛者な設定で。俯いてたのはクラスメートの言動に赤くなったりするのがバレないために、です。
まあこの後坂倉にどんどん引きずり出されていくんでしょうが(笑)
彼らには幸せになってほしいですねー…また気が向いたら続編も書きたいです。






  

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