ご献上の品々

□先生お兄ちゃん、大好き【4P+おまけ】
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〇閲覧の前に〇



このお話は、現代パラレル設定となっております。


◆ガイが新米保育士として、ピオニーが園長を務めるランバルディア保育園に勤務しています。

◆ルークは4歳の年中児、年齢の離れた大学生の兄(アッシュ)がおります。


以上の設定にご理解・ご寛容の上でお楽しみ下さいませ(礼)



〇〇〇〇〇〇〇〇

「ピオニー先生、おはようございまーす!」
「園長先生、おはようございますっ。」



キムラスカシティの田園地帯真っ只中に位置するランバルディア保育園の朝は、登園して来た園児たちからの元気で可愛らしい挨拶から始まる。


「ティア先生、それでは今日もウチの息子をお願いします。何かありましたらこちらの連絡先に……。」
「はい、分かりました。今日もお仕事頑張って下さいね。」


ランバルディア保育園には、所謂“送迎バス”は無い。
ピオニー園長の方針で、各家庭の保護者が責任を持って園児の送迎をしている。
その為、保護者側と保育園職員との直接的なやり取りがしやすい利点があった。


家庭で過ごしていた間に、急な発熱や怪我といった健康状態に問題は無かったか。
昨夜の睡眠状態は十分取れたのか、食欲はどんな程度だったのか。

こうした朝のやり取りも、保育士の大切な仕事の一つである。

もちろん、ひまわり組を担当するガイ先生も例外では無い。


「ガイせんせー、おはようございます!」
「お早う、今日も元気だな!それでお母さん、昨夜と今朝の様子で何か変わった事は……」
「ええ、昨夜はいつもより早く寝て今朝早く起こされましたよ。いつもこうだと嬉しいんですがね。」


朝が弱いとかで遅刻常習犯である担当園児の母親のぼやきに、ガイは思わず苦笑する。


「ですが、今朝は素直に早起きをしてくれたんです。余程今日の遠足が楽しみだったんでしょうね。朝から興奮していましたよ。」
「そうですね。朝から天気もいいようですし。」


そう、今日は遠足。
しかもすっきりした青空と白い綿雲が広がる、絶好の遠足日和だ。


登園し身の回りの荷物を片付けてから外に遊びに出ていった園児の様子からは、普段との違和感は無いようだ。


「それでは私はこれで。どうかうちの子供を宜しくお願いします。」
「わかりました。それではお気を付けて。」
「ママー、行ってらっしゃーい!お仕事頑張ってね!」


保育園とガイに我が子を託して立ち去る母親の背中に、園児が精一杯手を振って見送っていた。




〇〇〇〇〇〇〇〇

「9時ですの!9時ですのっ!
9時になりましたですの〜。」


愛玩動物として大人気の“チーグル”を模倣した園の絡繰り置時計が、みゅみゅうと連続九回鳴いた後に可愛らしいナレーションでそう告げた頃。

ガイ先生は自分の担当しているひまわり組の園児たちの出席を確認していたのだが、どこか浮かない顔を浮かべている。
連絡も無く未だに来ていない、一人の園児に不審を抱いていたのだ。





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