ご献上の品々

□ああ神様、なんて残酷な【2P】
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〇前書き〇



ルーク以外の登場キャラの崩壊、特にジェイドファンの方は閲覧にご注意下さいませ
m(__)m




〇〇〇〇〇〇〇〇

「……みんな、心配してくれてありがとな。」

「ルーク…?」

「だけど俺、やるよ。いや、ここは俺がやるべきなんだ。」

「ルーク!?」


不安げに、だが儚く微笑むルークの言葉に全員が思わず息を飲む。


「…怖いけど…本当はちょっと怖いけど、でも…やるって決めたんだ…!」


震えの止まらない拳を固く握り締めながらもそう決意を固めたルークに、ティアが怒りに震えて反論を浴びせる。


「あなた…それ、本気で言ってるの!? 無茶だわ! 私は絶対認めないから…!」

「ティア…」

「そうですわルーク! お願いですからどうか…どうかもう一度お考え直し下さいませ!」

「でも…俺、やるって決めたからにはちゃんと責任を取らないと…」

「でも、ではありませんわ!」


両手の指を絡めて祈るような仕草をしているのは、ナタリア。
幼なじみの少女が、ティアの意見を後押しする。


「もしも…もしもあなたがわたくしの為におやりになると言うのならば、どうか止めて下さいっ…!」

「ナタリア…」

「万が一にもあなたの身に何かが起こったのなら、わたくしはお父様に…いえ、お父様だけではありません。ファブレの叔父様や叔母様に何とお詫びをすればいいのでしょう…!」

「そうだぞルーク。ティアとナタリアの言う通りだ。…俺は認めないぞ。」

「ガイ…!?」


今にも泣きそうな顔でルークにそう叫んでいるのは、親友兼幼なじみ兼使用人の青年ガイだ。


「いいかルーク、お前はまだ七歳なんだ! たった七年の人生しか生きていないそんなお前が、悟ったような口を利くな!」


彼にしてみれば、手塩に掛けて育てて来たルークの事が心配で仕方がないのだろう。


「……イオン様といい…ルークといい…、どうして…どうしてそうあっさり…!?」


アニスに至っては、そのダークブラウンの大きな瞳にいっぱい涙を浮かべてふるふると震えている。


「アニス…俺、あっさりとだなんて…」

「あっさりだよ!! だってそうじゃない! みんなが駄目だって言ってるのに…」

「……」

「やるっていうルークの心意気は立派だよ、でもね? もし…もしルークに何かあったらどうするの? あの時何としてでも止めるべきだったって…、ルークを知っている人達はずっと苦しむんだよ!?」

「アニス…」

「……ご主人様! ミュウは…ミュウはご主人様がとっても心配なんですの〜…みゅうぅ…」


いつもルークをご主人様と慕うチーグルの仔ミュウまでもが、涙目でオロオロとしている。


「………俺…」


絶対にやらせない!

パーティメンバーからの異様な雰囲気に、ルークの身体がますます震えが大きくなる。


「………俺…は…!」

「解ってちょうだいルーク、これはあなたの為なのよ。」

「そうですわ! あなたがいなくなるなんて、わたくし……わたくしは…!」

「今なら止めるって言ってもいいんだよ…? 私達、ルークを責めることなんて絶対にしないから…」

「…………っ…」


ルークの肩の震えと拳に込められた力が、ますます大きくなっていく。

その時。


「……皆さん、そろそろ宜しいですか?」


これまで仲間たちのやり取りを見守っていたジェイドが、眼鏡のブリッジを指で押し上げながら前に出る。


「ルークが考えに考えた末にご自分でそう決めたのなら、私が…いえ、私達が幾ら止めても無駄に終わるだけでしょう。」

「旦那!? そんな言い方…」

「ですから私は止めはしません。……だからルーク、もう一度あなたにお聞きします。」


冷たく張り詰めた空気が一同を包み込む。


「……ルーク。本当に宜しいのですね?」


普段より硬い声色で、真摯にジェイドが問えば


「……ああ。頼む。」


ルークもまた、真っ直ぐな翡翠の瞳でジェイドに返したのだった。




【ああ神様、なんて残酷な】


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