大切な宝箱

□コドモの目線、オトナの目線【仔ルーク中心】(4P)
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「ぬわぁぁぁんだこりゃぁぁあーっ!?」


朝。

それはまだ鳥の囀りが美しく澄んで聞こえる爽やかなものであるというのに、それをぶち壊すかのようにルークの叫び声が辺りに反響した。


昨晩の部屋割りで一人だけジャンケンに勝ったルークは一人部屋であった。
ルークの隣の部屋はガイだった。

ゆっくり休んでいたところ、隣からルークの叫び声を聞き付けたガイは慌てて自室から飛び出し、ルークの元へと走ったのだった。


「ど、どうしたんだルーク!何かあったのかっ!?」


ガイがドンドンと大きな音をたててドアをノックしてもルークからの返事がない。
これは何かあったのではないかと考えたガイは「開けるぞ!」と、一声かけて勢いよくルークの部屋を開けた。


すると、部屋の中は…?





《コドモの目線、オトナの目線》





「ガ、ガイ〜…」

「……何やってんだ…?」


慌てて部屋に入ったガイが見たものはベッドの毛布に全身を包んでいるルークの姿だった。
顔すら見えない…。


「朝から騒ぐから何かあったのかと思うだろ?
毛布になんか包まって…、腹でも壊したのか?」


ため息をつき、ゆっくりルークに近付こうとすると。


「わっ!?バカバカ!近付くなって…!!」


まさかのルークからの『バカバカ』であった。
彼の叫び声が聞こえた為、慌てて駆け付けたというのに…。


「ルーク、お前なぁ!
心配して来たっていうのにバカバカ言わなくたって…!」


ここでガイはルークのある異変に気付く。


(ルークの…声が…?)


ガイは自分の考えを断ち切るべく、必死に身を隠すルークから容赦なく毛布を奪い取る。

そして今度こそ、ガイは言葉を失った。




「おま…!なんで…んなアホな…!」


ガイが見たものとは…。


「小さくなってる…」


そう、ルークは小さく…。
と、言うよりは子供になっていた。
見た目は6〜7才くらいだろうか?


「俺だって何でこんなことになったのか分かんねぇんだよー。
朝、目が覚めてみたらこんなことになって…!」


ルークは今にも泣きそうだ。
見た目が子供な分、より一層泣くのではないかとガイは不安になる。
どうしたものか…。


ガイが頭を抱えていると


「アレー?二人とも何してんの?
早く支度しないと朝ごはん食べに行っちゃうよー?」


と、アニスの声が後ろからした。

そして部屋に入って来たアニスとルークの視線がかちあい…。


「きゃわーん!誰々?
この可愛いお子様はどこの子なのー?」


アニスはルークと視線を合わせた瞬間、コンマ0.05秒でルークの元へと歩み寄りルークに頬擦りをした。
アニスのツインテールがまるで生き物のように左右にブンブン振られている。


(早っっ!?)


ガイはドン引きしたと言う…。


「のわわっ!アニス、苦しい!タンマタンマー!!」


アニスの肩を懸命に叩き、抗議する。
…本当に押し潰されかねない…。


「ほえ?この子、何で私の名前…」


そこでアニスは漸く、子供の風貌を見た。
朱い髪に緑の瞳。
そして小さくても変わらない後ろ髪のひよこのようなハネ。


「も、もも、もしかして…!!」


「ルークーー!?」


ルークに続き、アニスの叫びも木霊したのだった…。



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