短編作品集@

□僕らは光を追いかける【2P】
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〇閲覧される前に〇



EDエピローグ後の完全捏造設定です。

帰ってきたルークが、ジェイドと一緒にグランコクマで暮らしている前提のお話になります。


上記の点をご理解の上の閲覧を、宜しくお願いします。




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ND.2021。


マルクト帝国・首都グランコクマの夜の帳が薄くなりはじめた頃、一機の飛晃艇が南の空に向かって飛んでいった。


アルビオールと呼ばれるその飛晃艇が目指す先は、キュピ半島と呼ばれる絶海の孤島。

その島に建っている巨大な搭の前で飛晃艇は着陸すると、中から降りてきたのは二人の男性。

彼らは両腕に大きな物を大事そうに抱えると、搭の内部に入っていったのである。









「ここに来るのは、三年振り……ですね。」

「ああ。……変わらないんだな、ここは。」



レムの搭、頂上。

世界で一番空に近い搭は、創世歴時代に建造を途中放棄されて以来人が近づくことは皆無に等しい。

2000年を経た今も未完成のままであるこの頂上ホールは吹き抜けになっており、うっすらとラベンダー色の暁の空が見えている。

夜明け前特有の澄んだ空気が衣服の隙間に忍び入り、肌を刺す。



「……なあ、ジェイド。」

「どうしました、ルーク。」



寒さに耐え忍ぶように両腕で身体を庇いながら、ルークはしみじみと語る。


「あの時……三年前のあの時は、こうして景色を眺める余裕なんて俺達には無かったよな。」



それは世界中が瘴気によって覆われ、瘴気対策が論じられている最中の事。



「確かに。あんな切羽詰まった時期にそんな余裕など……、考えてもみませんでしたよね。ルーク。」



あの切羽詰まった中、レムの搭まで生きる場所を求め集まった一万人の第七音素――レプリカ達が、瘴気中和の礎となることを決意。

彼らの意を受けて瘴気を払ったのは、アッシュの持つローレライの剣を触媒として超振動を放ったルークだった。

それらが成し遂げられたのは三年前、ND2018年の今日であったのだ。



『我らは我らの屍で国をつくる』



搭に辿り着いていない同胞に生きる場所を作ると言い遺して消えた、一万の生命が冥(ねむ)る地。

暁起きの二人は、彼らの慰霊の為にここを訪れたのだった。



抱え持ってきた花の束を頂上ホールの中央に供えると、ルークは直立不動の体制になり黙祷を捧げた。
ジェイドもまた、マルクト軍人式の敬礼を取る。



音譜帯に光となって消えた名も無き彼らの魂が、安らかにあらん事を祈って。




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