お題で習作置き場
□恋愛的お題 ■love
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■ あまい甘い
絶対、離してなんかやらない(ハルカ視点)
こん、こんこんこん。
「あれ? おばさん、ユウキ君帰ってきてるって言ってたのに」
返事のない部屋を前にあたしは、ちょっとの間、どうしようか悩んでしまった。
それは、たびたびノックを忘れて部屋に入ってしまうあたしに、ユウキ君が眉をひそめて説教するからだが。
(ノックしたし。いいよね)
かちゃり。
簡単に開く扉。
そろり、と入ってみると、ユウキ君はいた。
珍しくフィールドワークの服装のまま、動力の切れたロボットのように、ベッドに倒れ込んで眠っていた。
周囲にプレゼントの箱をはべらせて。
(……そういえば、おとといはバレンタインデーだったっけ)
あたしは、フィールドワーク中のユウキ君のところまで行ってバレンタインSpecialを直接渡し、ついで、とばかりに一緒の時を過ごしたんだけど。
ユウキ君を当日に捕まえられなかった子たちが、家へ届けた物なのだろう、これは。
そう思いながらユウキ君へ近づき、彼の指にプレゼントのリボンが絡まっているのを目撃して――――
ムッときた。
それはまるで、プレゼントの贈り主の、ユウキ君への執着に見えて。
「ユウキ君はあたしの彼氏だもん」
そう呟いて、ユウキ君の指に絡まっていたリボンを振りほどく。
―――絶対、離してなんかやらない。
一言:このお題だと普通ユウキだよなぁ、と思いつつ。ハルカに割り振ってみました。
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