ポケスペ短編連作

□新前ジムリーダーの日々 番外3
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番外3.瓶入りコークで自棄酒気分。
 グリーンを除くポケスペ主人公ズの話。
 診療所で足留めを食らったグリーンの代理で、ジムリーダーの仕事(挑戦者との勝負と見回り)をすることになった面々。


 「だ〜か〜ら〜〜〜。ホントにグリーンに頼まれて、しばらく俺がジムリーダー代理なんだってば!」
 九時過ぎてもジムが開かず、怪訝な顔をしていた仲間たちに。
 一人遅れてきたレッドは、ちゃり、とトキワジムの鍵を出して見せ、グリーンに頼まれた証拠を提示したのだが。
 信じてもらえず、上記のように叫ばざるを得なかった。
 「だって〜〜、信じられないわよ。あのグリーンが」
 「ですよね。あのグリーンさんが」
 と、顔を見合わせるブルーとイエロー。
 レッドはジムリーダーの資格をちゃんと持っているので、普通なら証拠の鍵だけでも信頼するには充分のはずなのだが。
 グリーンの、何でも自分でやり通そうとする性格が、それを阻んでいた。
 「あっ! じゃあ僕たちを先に行かせたのは、グリーンさんのところに寄るためだったんですか?」
 「おう! そうなんだよ。まさか病院に、みんな連れて行く訳には――」
 信じてくれたらしいルビーの言葉に、嬉しくなって途中まで答えたが、あっ、と口を押さえるレッド。
 どうやら、グリーンに口止めされていたらしい。
 「病院? グリーンさん、病気か怪我でもなさったんですか?」
 「い、いや。そーゆー訳じゃなくて……」
 クリスタルの問いに、うやむやにしたいレッドは口ごもるが。
 「レッド? 話してくれるわよねェ?」
 ブルーの恐ろしいにっこり笑顔に、びきり、と固まった。
 何しろ、うっかり見惚れてしまうくらい綺麗な笑顔なのに、まったく目は笑っていないのだ。
 その温度差には、さしものレッドも背筋に冷たいものが走る。
 以前、この笑顔とともになされた非道な数々の仕打ちは、それを受けたレッドとゴールドにとって、おそらく一生残るトラウマとして心身に刷り込まれている。
 「とっ……とにかく中に入りません? こんなトコに立ってたんじゃ、周りに迷惑だしっ。ね? ね?」
 あわてて取り成すゴールドに、とりあえず笑顔を引っ込めたブルー。
 安堵の息をつく面々に比べ、レッドの表情が、あたかもドナドナの子牛のように絶望を帯びていたのは、まあ、仕方ないことだった。




→続く
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