ポケスペ短編連作
□新前ジムリーダーの日々 5
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5.きわどい話はカフェ・オ・レのお供に。
主人公ズと、少女の話。
結局、少女をトキワジムまで連れ帰ったグリーンは、待ち受けていた仲間たちに事情を説明するが、説明し終わった後浮上した、ある問題。
結局、グリーンがトキワジムに「出勤」してきたのは、それから五日後だった。
五日ぶりにジムに来たグリーンに引っ付いて、怯えまくる少女。
みんなにカフェ・オ・レを淹れようと立ち上がった時も、彼女はグリーンの裾を捉えたまま、狭い給湯室までついてきた。
向こうに行っていろ、とグリーンに冷たくあしらわれても構わずに。
全員にカフェ・オ・レが振舞われ、彼女にも渡されて。
いきさつと状況を聞き終え、みんな少女を放っておく訳には行かないことを理解して、協力することを約束した後。
ふと、ある問題が全員の頭を過ぎった。
「ええっと。これから、どうするんですか? グリーンさん」
「……傍に置いとくしかないだろう」
イエローの問いに、グリーンは顔をしかめながら答える。
この少女は、なぜかグリーン以外を恐れ、怯えてしまう。
グリーンの態度に影響されてか、ようやくこのメンバーにだけは、グリーンが同席していれば引っ付かずとも怯えずにすむ、というレベルまで落ち着いたが。
それでも、不安が先立つのだろう。
ことあるごとに、グリーンの服や腕、下手すると腰にすがりたがる。
今も、片手にカフェ・オ・レ・ボウル(カフェ・オ・レ専用のカップ。おわんのような形をしてい、取っ手がない)を持ち、もう片方の手でグリーンの上着の裾を掴みしめている状態なのだ。
「でも、夜はどうする? 一緒に寝るのか?」
レッドの言葉に、キッと睨むブルー。
「しばらくは、そうするしかないな」
「ダメよ!」
「駄目だ!」
なぜか声が揃う、ブルーとシルバー。
「じゃあどうすんです?」
「そうよね。でもさすがに、二人っきりじゃ……」
心配するゴールドとクリスタル。
「といっても、これじゃあ引き離せないですよ」
「まるでこん子、野生のドーブツみたいばい。グリーンさん以外、敵と認識しとぅもん」
「よく分かるね。さすが野生児」
「ルビー! せからしかよっ」
ルビーとサファイアの、口ゲンカという名のじゃれ合いが始まる中、
「彼女がホントに動物だったら、体にグリーンの匂い染み込ませとけば、アタシにもなつくかしら?」
(ブルー:爆弾発言を冗談と本気の両面から、さらりと言ってのける)
「……却下だ」
(グリーン:ブルーの言葉の表も裏も読み、どう反応していいか分からない)
「とゆーか、そう簡単に匂いってつきます?」
(ルビー:いちゃいちゃレベルだと思っていて、いつものことでしょ、と呆れている)
「そりゃあ、簡単にはつかないだろうな」
(レッド:どう匂いをつけるのか、全然理解してないのか全部分かっているのか判断不能)
「ひゅーひゅー♪ 姐さんってば言うね〜」
(ゴールド:もちろんブルーの言葉の意味に気づいていて、なおかつ楽しんでもいる)
「ね、姉さん! なんてことをっっっ!!」
(シルバー:ブルーの言葉の意味を理解していて、その爆弾発言に驚きあわてている)
「えっ、えっ///」
(クリスタル:ルビーと同じく、いちゃいちゃレベルだと思っているが、根が純なので恥ずかしがっている)
「匂い……と???」
(サファイア:疑問に思っているが、ルビーが分かっているようなので訊くのがはばかられる)
「ブルーさん。匂いって、どうつける心算なんですか?」
(イエロー:まったく理解できず、しかも疑問を疑問のままにしておけない)
うわぁ訊いちゃったよ、と呟くゴールドの声に構わず、
「教えてもい〜い? グリーン」
可愛らしく首を傾げて見せるブルーに、
「止めろ」
グリーンは、苦々しい顔で言った。
→続く