お題で習作置き場
□レカスとグリブルで掌編連作
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配布元:TVよりお借りしました。
コケティッシュ光線 コケティッシュ:女性のなまめかしく色っぽいさま。
(レカス、グリブル前提のレッド+ブルー)
ため息が洩れた。
「ねえ」
「何だよ」
タマムシシティにて。
ジムリーダーの定例会に出ているグリーンとカスミを、ビルの玄関の門にて待つブルーとレッド。
町のはずれにあるせいか、人っ子ひとり見かけない。
「なに、不貞腐(ふてくさ)れてるのよ?」
「待つのが嫌いなだけだよ」
「そーよね。いつもなら、あんたがふらふらしてて、カスミが待つってパターンだし」
さらっと言ってのけるブルーに、レッドは頬を膨らませた。
「仕方ないだろ。カスミの傍にいたら、いつ襲っちゃうか分かんないし」
「……あんたねぇ。そーゆーこと、レディの前で言う?」
「レディ? どこどこ???」
べしっ!
「けだもの」
「重々承知してますよ〜、俺だって」
雑誌で叩(はた)かれた頭を押さえつつ、レッドはため息をつく。
「いいよなぁ、グリーン」
「何でよ?」
「だってお前ら、デキてんだろ?」
ごすっっっ!
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
体重のしっかり乗ったヒジを脳天に落とされ、みもだえるレッド。
「悪いけど、あんたが考えてるトコまで行ってないわ、アタシたち」
「え!? お前もカスミとおんなじって訳か?」
「違うわよ。グリーンがカスミとおんなじなの」
ブルーの言葉に、レッドは目をぱちぱちと瞬(しばたた)かせた。
「うそだろ?」
「嘘じゃないわ。アタシのコケティッシュ光線浴びせても、あの堅物、ちっとも手を出してこないのよ」
「コケティ……???」
「コケティッシュ光線。ぶっちゃけ、色仕掛けでベッドのお誘いかけたってゆーこと。――これに引っかからなかったオトコは、グリーンがはじめてだわ」
「ぶ、ぶ、ぶ、ぶ、ブルー、お前っ!」
「あ! 誤解されるとヤダから言っちゃうけど、アタシはまだ処女よ。そーじゃなくて。ちょっと騙して剥ぎ取ってたのよ、イロイロと」
プリンをベッドに潜ませといてね、とウインクひとつ。
「……美人局(つつもたせ)ってやつかよ、お前」
「ま、ね。アタシみたいな美人だと、欲しいって馬鹿には事欠かないの」
数奇な人生の中で、アンダーな生活を強いられたブルーの取った手段。
しかしその部分はあっさりスルーして、
「うわぁ、信じらんない! 俺がカスミにそんなお誘いされたら、一も二もなく飛びつくぞ? もしかしてグリーン、甲斐性なしってやつ?」
「ちょっと! その言い方は許せないわ。せめて朴念仁って言ってよ」
……どっちもどっちのひどさだろう。
が、そんなことに気づかない二人のいがみ合いに、
「誰が、甲斐性なしの朴念仁だって?」
聞き覚えのありすぎる声が落とされる。
レッドとブルーの肩が跳ね、ゆっくり振り返ると、そこには仁王立ちで二人を見下ろすグリーンと、羞恥に頬を赤く染めるカスミが――いた。
一言:臆病なカスミと堅物なグリーンに、悩むレッド&ブルー。
→ リリカルノイズ へ続く