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林檎のコンポート (ポケモンR&S&E:ユウハル)
飲み物を取りにキッチンまで来たユウキは、ごそごそと箱から瓶をいくつも取り出していた母親に遭遇した。
母親が出していたのは果物のコンポートの瓶詰め合わせで、やわらかな果肉がシロップの中で揺らめいている。
何とはなしにその様子を見つめていたユウキは、
「母さん。これ、もらってもいい?」
母親が出していた瓶の中から、ひとつの瓶詰めを取り上げた。
ハルカという嬉しいご馳走相手が出来て、お菓子作りに再燃した母親がそれを使ってしまう前に、確保して置きたかったからだ。
ユウキが持っているのは、林檎のコンポートの瓶。
「いいけど。ユウキ、林檎のコンポート嫌いじゃなかったの?」
「ハルカが好きだから」
首を傾げる母親に、端的に答え、いい? と重ねて訊くユウキ。
母親の手にゆだねて置いたほうが美味しいお菓子になって、ハルカも喜ぶだろうとは分かっていても、やっぱり自分が渡して喜んでもらいたい。
そんな、ちょっとした独占欲を知らずにかざしている息子の姿に。
「分かったわよ。持って行きなさい」
仕方ないわね、と言いたげな顔で、母親は了承する。
「さんきゅ、母さん」
にかり、と年相応に笑って、瓶を大切そうに持ち直し、ユウキはそのまんま階段を上がって部屋に戻っていってしまった。
その後ろ姿を見届けて、
「あの子、何しにここに来たのかしら?」
母親は呆れ顔で呟いた。
一言:この頃、ユウハル出来上がり前提のユウ→ハルが好み。