☆庭球歌劇部屋A☆
□肩を貸すから、寄り添って
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インタビューの取材のあった建物を後にした頃、すでにいくつかの星が瞬いていた。
また今日が過ぎていく。
柄にもなくセンチメンタルな気分で帰路へと着いた。
「晃二!」
そんな俺を呼ぶ声。
まさに闇をも吹き飛ばす太陽のような。
「ケンケン?」
「おうっ♪」
はっきりしない人影が暗がりから街灯の下まで姿を現し、俺はようやく確信を持って彼の名を呼んだ。
「わぁ〜、ケンケンだぁ!」
「他に誰がいんだよ?」
ケンケンこと、俺の先輩である鎌苅健太は、驚いて変な顔になったオレを笑い飛ばした。
相変わらず、良く笑う人だ。
「だって久々じゃないですか。連絡だって、なかなか取れなかったし…」
「そうだっけ?」
あれ?
俺って興味の対象にもなってないの??
「お前のCD聴いたり雑誌読んだりしてっから、なんか懐かしいカンジないねん」
そう言って、ケンケンは自分自身さえ可笑しそうに笑った。
どうやら俺の勘違いのようだ。
まだまだ忘れられてはいない。