☆庭球部屋A☆
□一番綺麗な景色
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ぞろぞろと、端から見れば奇妙な男だらけの集団。
女の影なんて微塵も見せないことが、皆幸せだったという証拠だ。
「撮るよ?」
不二が持参していたカメラを河村が慣れた手つきで設置し、タイマーを押してから不二の隣に滑り込む。
シャッターの切れる音と眩しいフラッシュに、一気に騒がしくなった。
「先輩?」
どんなに距離が縮まっても消えない、海堂の敬語と"先輩"という呼び方。
でもそれは変えなくていいと、俺はそう思う。
「ん?」
「メリー、クリスマス」
海堂の視線は大きなツリーのてっぺんへと向けられていた。
まるで、来年も来ようと言っているように…
「あぁ、メリークリスマス」
繋いだ手は、寒くなるほど強く握られた。
そのたびに暖かくなる。
「それじゃあ、また暇があれば」
そう言って、俺達はそれぞれのクリスマスへと戻っていった。
俺と海堂も、少し遅めの夕飯へと。
「覚えてます?」
歩いている途中で掛けられた海堂の言葉。
「何を?」
「初めてのクリスマス」
初めて過ごしたクリスマスを、忘れるはずがない。
付き合い始めて、最初のクリスマスを…