☆庭球歌劇部屋B☆
□雨上がり
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それは目覚ましの鳴る1時間程前。
僕の幸せな夢は、雨の降り続く音で強制的に途切れた。
せっかく彼の夢を見ていたのに…
「Mail、した方がいいのかな?」
雨足はヒドくなるばかりで、簡単に止みそうにない。
約束の時間は彼、つまり工さんの仕事が終わる4時。
桜満開の公園で、まったりと花見デートの予定だった。
「雨が降り出すのって、明日じゃなかったっけ?」
窓を流れ落ちる水滴を恨めしく見つめながら、昨夜見たニュースに愚痴を零す。
久々の工さんからの連絡は、僕を幸せの絶頂まで舞い上げてくれた。
なのに、こんな雨なんかに壊されたんじゃ…
「僕って報われないよね」
連絡が来ないってことは、もう仕事に行ってるか寝ているか。
きっと、雨でも会おうって言ってくれる。
でも、僕は初めて行く工さんとの花見をすごく楽しみにしてたんだ。
「やっぱり連絡しよ」
こんだけ降ったんだから、桜は散ってしまったかもしれない。
だけど、僕は工さんと花見がしたい。
後日、仕切り直そう!
そう思って出したMail作成画面は、誰かからの着信で遮られた。