☆庭球部屋B☆
□学校生活@
1ページ/9ページ
◎ヤギュブン◎
「それでは放課後」
「おぉ、またの」
流れるように歩き出した相手を見送り、自分も少し猫背気味に歩き出す。
今は昼休み。
人気のなかった特別棟から渡り廊下を過ぎると、騒がしくなった前方に見慣れた赤髪。
「お〜、仁王!」
全身を使うように手を振られ、こっちからも軽く手を上げた。
「よぉブン太」
「んあ?特別棟で昼飯食ったのか??」
「そうじゃ、静かやしのぉ」
目下の頭をグシャグシャに撫でてやる。
その手を必死で払いながら大笑いする彼は、やっぱり…
「…可愛い…」
無意識だった。
前髪を摘み、小さなオデコにキスを送る。
「!?」
その驚いた顔に、ようやく今の状況を思い出す。
自分は何を…?
慌てて弁解しようとしたが、目の前の彼は平常心に戻っていた。
「どうして?」
「ん?」
「何で…嫌がらんの…?」
キスをしたのは"仁王"なのに。
「バカ、嬉しいに決まってんだろい?」
満面の笑みで彼が告げる。
「自分の恋人にキスされんのは」
「…気付いていたんですか?」
「最初は分かんなかったけど…でも、キスされる時にな」