☆庭球部屋B☆

□学校生活@
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◎ヤギュブン◎



「それでは放課後」

「おぉ、またの」


流れるように歩き出した相手を見送り、自分も少し猫背気味に歩き出す。

今は昼休み。

人気のなかった特別棟から渡り廊下を過ぎると、騒がしくなった前方に見慣れた赤髪。


「お〜、仁王!」


全身を使うように手を振られ、こっちからも軽く手を上げた。


「よぉブン太」

「んあ?特別棟で昼飯食ったのか??」

「そうじゃ、静かやしのぉ」


目下の頭をグシャグシャに撫でてやる。

その手を必死で払いながら大笑いする彼は、やっぱり…


「…可愛い…」


無意識だった。

前髪を摘み、小さなオデコにキスを送る。


「!?」


その驚いた顔に、ようやく今の状況を思い出す。

自分は何を…?

慌てて弁解しようとしたが、目の前の彼は平常心に戻っていた。


「どうして?」

「ん?」

「何で…嫌がらんの…?」


キスをしたのは"仁王"なのに。


「バカ、嬉しいに決まってんだろい?」


満面の笑みで彼が告げる。


「自分の恋人にキスされんのは」

「…気付いていたんですか?」

「最初は分かんなかったけど…でも、キスされる時にな」
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