☆庭球部屋B☆
□学校生活A
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◎乾海◎
「「あ…」」
偶然出会った多目的ホール。
お互いに抱えた荷物で、行き先が同じだと悟る。
「海堂も資料室かい?」
「っス!先輩も社会だったんスか??」
「あぁ」
クイッとスクリーン式になっている地図の筒を上げると、海堂が小さく笑う。
それは俺にしか分からない笑顔。
データが正しければ、この偶然が嬉しかったんだろう。
「ん?でも海堂は今日、日直じゃないだろう??」
「あ…」
ん?
あ、なるほど。
「女子が持って行こうとしてたのかな?」
「あ…は、はい…///」
「優しいなぁ、海堂は…でも、妬けるかな」
「え!?あの、あ…スンマセン…///」
「ふふ、冗談だよ」
真っ赤になって俯く海堂が可愛くて、ついつい抱き締めたくなるのを必死で我慢する。
でもやっぱり可愛かったから、その頭だけ撫でた。
「ほら、早くしないと休み時間終わるぞ?」
「あ、っス!」
ガバッと顔を上げる海堂は、どうやら俺の手に気付いていない。
ま、一日口きかないって言われるよりはましか…
「今日さ、部活終わったら付き合わない?」
「…自主トレは…?」
「抜かりないさ」