☆庭球部屋B☆
□一日中、キス
1ページ/12ページ
◎大菊◎
軽い息苦しさに目を開けば、視界は赤茶に染まっていた。
「……英、二?」
思い浮かぶ人物なんてただ一人しかいなくて、確信を持ちつつも名前を呼んでみる。
するとモゾモゾと身動きし、ヒョコっと見せた顔は満面の笑み。
「おはよ、大石vv」
俺に跨るように座っていた英二の顔はあまりにも至近距離で、挨拶と同時に送られたキスに何の反応も出来なかった。
朝は強いと思ってたけど、英二の可愛さに夢心地な俺。
「英二…おはよう」
胸に置かれた腕が少し苦しかったので、抱き込むようにして起き上がる。
そんな俺を嬉しそうに抱き締めてくる英二はやっぱり可愛くて、フワフワした髪に俺も挨拶代わりのキスを送った。
「む〜!チュウはココ!!」
頭へのキスは不服だったらしく、拗ねたように頬を膨らませた英二が自分の唇を指差す。
「ハハっ、ゴメン」
困ったように眉を寄せてみるも、実際は俺も唇にキスしたかったから。
だから、躊躇いなく唇を落とす。
「ん…あ〜…もう終わり?」
「足りないか?」
「足んない!!」
「仕方ないなぁ…」
短いキスじゃ足りないと言うのなら、期待に応えよう。