☆庭球歌劇部屋A☆
□秋風、君に…
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事前に直也が予約していたらしく、スムーズに席に着くことが出来た。
「直也にしては上出来じゃん」
「それ、褒めてへんやろ」
「いやいや、ちゃんと褒めてるって」
また笑いが溢れる。
俺、こんなに笑うヤツだったっけ?
「んじゃグラス持ってな?……ん〜と、草ちゃん!誕生日おめでとう♪」
「サンキュ!」
カチンと小さな音を立てて、直也が頼んだワインを喉に流し込む。
明日はオフだ。
とことん楽しもう!
「よし!沢山食べような」
「おう!」
順番に運ばれてくる食事。
俺達はそれをどんどん消化していった…
食事を始めて2時間程で料理はなくなり、直也の説明だと残りはデザートだけらしい。
直也が店員に頼んで数分で出て来たデザート。
それを確認する前に俺達の周りが暗くなった。
『HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪HAPPY BIRTHDAY DEAR 草太〜♪HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪』
直也と店の人、あるいは俺が誕生日なんだと気付いたお客さん達に唄ってもらった歌。
直也の嬉しそうな笑顔を見て、俺は御礼も言えずに目の前の蝋燭を吹き消した。