☆庭球歌劇部屋A☆
□有難う、暖かな笑顔を…
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夜食を買おうと入った店で、何気なく開いた雑誌。
意味もなくページをめくると、君の笑顔に出会った。
「卓也…」
最近、会ってない…
正直言って俺のせいだ。
仕事ばかりを優先し、卓也がライブに来てくれても視線を送るだけ。
嫌いになった訳では決してなくて、ただ忙しいを理由に距離を置いていた。
「ヤバ…会いたくなってきた…」
仕事中は忘れられるその笑顔も、こうやって雑誌を通じてでも見てしまうと頭から離れない。
会いたいって思うから、距離を置いているのに…
これじゃあ逆効果だ。
「あ、れ?」
卓也の笑顔を振り払うようにページをめくっていると、今月の誕生日特集の記事が目に飛び込んでくる。
そこにあるのは自分の名前…
「そういえば、今月に入ってからのファンレターの量が異常だったな」
考えてみれば簡単なこと。
今月、10月の7日は自分の誕生日だ。
「誕生日も忘れるくらい働いてた?」
働いてたのは自分なのに、なぜか人事に思えてくる。
それだけ仕事が当たり前で、有意義なことなんだ。
でも何かが引っ掛かる。
「今日は6日か…」
そう呟いても分からなかったけど…