☆庭球歌劇部屋A☆
□失礼なキミ
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初めて会ったのはいつだっけ?
本当はもっと前、オーディションの時にも会っているかもしれないけど。
でもオレが一番覚えてるのはあの時だ。
同じ青学のメンバーとして、自己紹介をした時のこと。
「乾役、荒木宏文です」
アナタはオレを見ようとはしなかった。
いや、オレだけじゃなくて皆を。
オレもそうだったけど、彼も人見知りなのかな?と、そう思った。
「海堂薫役、鯨井康介です」
だからオレも、彼のことは見なかった。
人見知りだから。
「宜しくお願いします!」
ただ、気合いは入っているということは主張して。
覚めてしまった頭で荒やんとの思い出をなぞる。
あんまりに初々しいオレ達の出会い。
「…ん…」
睫がかすかに動く。
でもまだ起きる気配はない。
だからオレは少しだけ握る手の力を強めただけで、声は掛けなかった。
それだけで幸せだったから。
「人見知りだからって、失礼だよな…あんなに愛想なくするの」
でもオレ達はそれが"らしい"よな。
似た者同士。