☆庭球歌劇部屋A☆
□僕らの初詣
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忙しかった年明けの仕事を全て終えた頃、もう1月は半分を過ぎていた。
「ゴメンね?遅くなって」
「ゆっくり出来ていいじゃないですか!気にしないでください」
初詣とは言い難いかもしれないけど、やっぱり年に一度は来ておきたい。
そんな俺の誘いを快く受け止めてくれた鯨ちゃんと、今神社に来ている。
「出店にはちょっと惹かれたけど」
「あと甘酒?」
「そうそう♪」
元旦には賑わっていたはずの光景を思い浮かべ、少しだけ苦笑いを零すと、鯨ちゃんから呆れたように笑われた。
「オレはね、焼きトウモロコシとか」
「綿菓子とリンゴ飴は?」
「子供扱いは辞めてくださいよ…」
からかっていたら拗ねちゃって、俺は慌てて弁解するために沢山喋った。
そのうちに膨れた頬は柔らかみを取り戻し、また自然な会話が始まった。
「キツいよねぇ、神社の階段って…なんで?」
「そんなん俺が分かると思う?」
「いや、全然」
「じゃあ聞くなι」
少し怒ったふりして早足になると、鯨ちゃんがすごい勢いで謝ってくる。
同じ様に早足で俺に追いついたから、俺は突然振り向いてみた。