☆庭球歌劇部屋B☆
□雨上がり
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「え、工さん?」
そこに映し出された名前は、愛しい彼。
まるで計ったようなタイミングに、ついつい笑ってしまった。
「もしもし、工さん?」
『塁斗か?外、見た??』
待ち望んだ声。
頭の中を優しく駆け巡り、さっきまでの不安やイライラを簡単に取り除いてくれる。
「雨ですね」
『だね…どうする?』
「僕は、仕切り直したいです。やっぱり工さんと花見したいし、短い時間でもいいから後日…」
『ん〜、俺もさ』
僕の意見を最後まで聞くと、工さんはソレを汲み取った上で答えを出す。
いつも僕の意見が優先。
押し付けがましいと思わないのは、相手が工さんだから。
『塁斗と花見したいよ。だから…』
声色で工さんが笑ったのが分かる。
楽しそうなその声に、早く会いたいって思った。
『俺は諦めない』
「え?」
やっぱり楽しそうな工さんの声。
『まだ夕方まで時間あるじゃん♪』
そう、工さんはこういう人。
いつだって望みを捨てない、強い人。
「…うん、そうだね…待ってみようよ!」
この予感、大好き!
きっと楽しいことが起こる。