☆庭球歌劇部屋B☆
□吹き飛ばして
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─♪〜〜♪♪〜♪〜─
休憩中のスタジオ隅。
鳴り響いた着信音は紛れもなく握り締めた携帯からで、ずっと望んでいたメロディー。
話せると分かっただけでこんなに胸が躍るのに、自分から掛けることが出来ない。
なんて情けない、俺って。
「…はい、おーちゃん?」
『ズッキー!今平気?』
「うん、平気」
ギュッて、無意識に胸の辺りを抑えつけて気持ちをセーブする。
そうしなきゃ、嫉妬深くて汚い俺が出て来てしまいそうで…
『良かった!あのさっ…』
「え?何、おーちゃん。聞こえないよ??」
叫ぶように伝えられる言葉は、電話越しの雑音にかき消されていく。
電波が悪いとかじゃなく、おーちゃん自身が騒がしい場所にいるみたい。
「もしも〜し?」
しばらく途切れた声を待っていると、ようやく静かになった電話先からおーちゃんの声。
『ゴメン!友達とか仕事仲間とかと遊んでてさぁ』
「そっか…で、何?」
自分以外の人間と仲良くしているおーちゃんを想い、ちょっと苛つく。
思わず口から出た自分の声があまりに低くて驚いた。