☆庭球歌劇部屋B☆

□吹き飛ばして
3ページ/8ページ

─♪〜〜♪♪〜♪〜─


休憩中のスタジオ隅。

鳴り響いた着信音は紛れもなく握り締めた携帯からで、ずっと望んでいたメロディー。

話せると分かっただけでこんなに胸が躍るのに、自分から掛けることが出来ない。

なんて情けない、俺って。


「…はい、おーちゃん?」

『ズッキー!今平気?』

「うん、平気」


ギュッて、無意識に胸の辺りを抑えつけて気持ちをセーブする。

そうしなきゃ、嫉妬深くて汚い俺が出て来てしまいそうで…


『良かった!あのさっ…』

「え?何、おーちゃん。聞こえないよ??」


叫ぶように伝えられる言葉は、電話越しの雑音にかき消されていく。

電波が悪いとかじゃなく、おーちゃん自身が騒がしい場所にいるみたい。


「もしも〜し?」


しばらく途切れた声を待っていると、ようやく静かになった電話先からおーちゃんの声。


『ゴメン!友達とか仕事仲間とかと遊んでてさぁ』

「そっか…で、何?」


自分以外の人間と仲良くしているおーちゃんを想い、ちょっと苛つく。

思わず口から出た自分の声があまりに低くて驚いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ